Tournament article
フジサンケイクラシック 2010
石川遼が単独首位に
4アンダーはトップタイで、5人と並んで迎えた最終9番で、奧から10メートルもの長いバーディパットをねじ込んで、再び単独首位に躍り出る。
「ボギーやダボも打ちながら、5アンダーで回れたということは、それ以外のプレーが非常に良かったということ」と、満面笑みで大きくうなずく。
今週は約1ヶ月ぶりに、父・勝美さんに会場で直接指導を受けて言われたのは、「もう少し体重移動を心がけていこう」と、いうこと。
近ごろのテーマだった「回転のスピードを上げて飛ばしていくスイング」にプラスして、「今週は体をもっと動かして、躍動感を出してプレーしていこう」と、自分なりに新たに課題を持って、出ていった。
11番で、さっそく右奧2メートルのバーディチャンスを奪うと、まずは今年25ヤード距離が伸びた590ヤードの15番パー5で魅せた。
残り278ヤードの第2打は、「まっすぐ打つと、バンカーまで行ってしまう。ドローボールで行きたい」。ちょうど右足上がりのライも相まって「絶好のチャンス」と、にらんだ。
折しもギャラリーが携帯電話で通話する声が、やや大きくて気にはなったが、「そのせいで自らチャンスを台無しにするのはもったいない」と、あえて意に介さず、まさに理想の弾道で、グリーンを捉えた。2.5メートルを難なく決めた。
さらに次の16番は、あわやホールインワンのピンそば10センチだ。
過去3度の出場は昨年の優勝も含めて、「良い思い出しか残っていない」というのがこのフジサンケイクラシックだ。従業員の方々とも年々交流は深まってますます居心地も良くて「今年一番、初日を不安なく迎えられた」というのが、会場はここ富士桜だ。
「大好きなコース」と石川が愛してやまない富士の裾野に広がる18ホールは「積極性を広く受け入れてくれるから。常に攻める姿勢でいれば、神様がちゃんと待っていてくれるから。逆に攻めの姿勢を失えば、神様も背を向ける」。分かっているから、安心してぶつかっていける。
7番パー3は、奧からのアプローチで3メートルにつけたパーパットを3パット。ダブルボギーのあとの8番は、一番気合いが入った。ティショットを左に曲げたが、ミスの連鎖は何としても食い止める。
木の下を抜く残り160ヤードの第2打は「この日のベストショット」と言ってはばからない。6番アイアンを短く持って、振り抜いた。低く打ち出したボールは手前のマウンドでうまく跳ねてピンまで6メートルに乗った。
これをしのいだ。次の最終ホールでの単独首位への返り咲きへ、道筋をつないだ。
開幕前は「まだゼロ」と話していた自身初となる連覇への思い。
だが幸先の良いスタートを切って「だんだんモチベーションが上がっていくと思う」と、その気も徐々に出てきた。
「自分の持っている積極性を、最大限に生かしてやっていきたい」。
残り3日の戦い方は、もはや心得ている。