Tournament article
フジサンケイクラシック 2010
薗田峻輔は「悔しいのひとことです」
それだけに、プレーオフ4ホール目に自らボギーで敗れたことが悔やまれる。
「悔いのないプレーをしようと始めたプレーオフだったけど、僕が勝つことを描いていたし、今回自滅で終わってしまい、悔しいの一言です」。
3打差2位タイからスタートした最終日は前日から正面きって、「僕が遼の連覇を阻止する」と宣言し、「前半までに遼に3つリードする」と、石川にもはっきりとゲームプランを伝えていた。
そして6番で3つめのバーディを奪い、逆転成功。1打差つけて折り返し、「さすが薗田先輩。有言実行」と石川も、その意志の強さにひそかに感嘆したものだ。
15番で、左バンカーからの第3打をグリーン奧に打ち込むミスショット。しかしボールは偶然、テレビ中継のブースを直撃してグリーンに跳ね返ってきた。
また、本戦の18番では奧のラフからの3打目がピンフラッグにくるりと包まれて真下に落ちる、いわゆる“旗包み”で命拾いしたり、ラッキーにも恵まれて、いよいよ迎えた石川との一騎打ち。
絶好のチャンスは3ホール目。181ヤードのバンカーから2メートルにつけたがこれを外した。
しいていえば2ホール目も、石川が右に曲げて、薗田が有利な展開だった。
「僕のほうが、若干近くにつくのが何回かあったけど。チャンスについているのが外れて、ストレスがだんだん大きくなってきたのかな」。
それこそ、かたやこれでツアー通算8勝の後輩と、今年初Vをあげたばかりの自分との、経験の差か。
「何せ僕はツアー1年目だし、遼は勝負どころを知っているし、グリーンも難しいし、その辺の差がちょっとだけ出てしまった」。
それにしても、やっぱり悔しいのが4ホール目のパーパットだ。1メートルのフックラインを外した。その瞬間、動揺は隠せなかった。石川も、「まさか薗田先輩があれを外すとは思わなかった」と、薗田が打つ前からすでに、次の5ホール目に向かう体勢に入っていたほどだ。
それだけに薗田にも、その瞬間の石川の表情を見るにつけ、「遼も納得いってないな」と感じ、もちろん自分としても、「どちらかがバーディを取る終わり方が良かったと思う」。
とはいえ杉並学院高は3年時に、まだアマチュアとして初出場した2007年、当時は予選落ちを喫し、ツアーの厳しさを思い知らされた今大会で、それからわずか3年後に後輩との優勝争い。
「こんなに早く実現するとは思わず。若干の苦手意識があったコースでここまでやれたのには自信がつく」。
そして今度こそ、リベンジだ。
「来年は初日から飛ばして、遼に3連覇はさせません」。
もはや、石川の好敵手といってもいい薗田の急成長ぶりに、本格的な新時代の到来を予感させた。