Tournament article
フジサンケイクラシック 2010
石川遼は「背負うというより、後押ししてくれる」
むしろ、「良いイメージばかり、よみがえってくるので、その点では凄くラッキー」。
アマチュア時代から含めて過去3度の出場も、ここ富士桜に来るまでは、たとえ調子が悪くても、「なぜかこのコースでプレーすると、上位にいられたこともあって」。
富士が見下ろす18ホールは心の向くままに、「自然体で穏やかにプレーすれば、自然と結果はついてくる」と思える。
昨年覇者という“肩書き”も、「背負うというより、むしろ僕を後押ししてくれるもの」と、気負うどころか、プラスに捉える。
「たとえミスしても都合よく、“ディフェンディングチャンピオンだからここから巻き返してくるだろう”と、ギャラリーのみなさんを安心させるプレーがしたい」。
今年はまた総距離が伸びて、パー71の7405ヤード。
15番は、ティグラウンドの移動で25ヤード長くなり、590ヤードのパー5に。
いつにも増して、「こういうロングホールで確実にスコアを伸ばしていくということが、優勝への道」と、明確だ。
また14番や15番は、日によってティグラウンドの位置を変えることで距離を伸ばしたり、縮めたりという斬新なセッティングが予定されている。
特に14番は、これによってもともと425ヤードが348ヤードのパー4となり、ワンオンも可能なホールになる。「それを期待して見てくださるギャラリーの方もいらっしゃると思うので」。
風向きなど状況が整えば、もちろん「ドライバーで狙っていく」と、今からその気満々だ。
過去3度の出場をのぞいても、ここでのラウンド数は30回を超えて、慣れ親しんだコースは、それ以外でも「ホームコース」と呼びたい要素が満載だ。
たとえば14番の茶店で必ず注文するぶどうジュースはあまりの好物に、売店の方が、気を利かせてあとでわざわざ石川の自宅に贈ってきてくださったことも。
「従業員の方には本当に親切にしていただいて。そういうことも含めて大好きなコースなんです」。
また、クラブハウスのレストランのメニューにある「カフェオレ」の話になると、もう止まらない。
「コーヒーとミルクの比率が、初めて飲んだときから僕にドンぴしゃ。ミルクの量が、まさに奇跡なんです」。
左右のバランスをわざと非対称にして、今週また大人っぽくイメチェンした髪型とはうらはらに、好きなものの話題となると、どこまでも無邪気な18歳。
目を輝かせて語るその様子には、もはや本人初の連覇達成が、すでに約束されているかのようにも思えてくる。