Tournament article

VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント 2011

宮里優作は、1日2イーグルで4位に

真っ黒に日焼けした顔から久しぶりに白い歯がこぼれた。2006年の米ツアー「リノ・タホオープン」で、1ラウンド2度のホールインワンを達成したときほどのインパクトではないにしろ、1日2個のイーグルは圧巻だった。

前半は18番で残り260ヤードから、スプーンで乗せた8メートルを決めた。
午前スタートのこの日2日目は後半の4番で、発雷による1時間40分の競技中断にも見舞われたが、出だしの10番でチップインバーディを奪った勢いが、止まることはなかった。

再開直後は5番、6番、8番で一気に3つスコアを縮めると9番で、この日最後の締めくくり。3番アイアンの221ヤードを5メートルに2オン。この下りのフックラインを沈めて64。
通算10アンダーで、暫定4位タイに浮上した。

今季の宮里は、例年以上に気合が入っていた。宮城県の東北福祉大学出身。未曾有の災害に見舞われた第二の故郷にかける思いは熱かった。

開幕から1個につき1万円の“バーディ基金”を積み立てて、地元自治体に寄贈する活動を始めたのはいいが、「技術がついてこなかった」。

5月の中日クラウンズから、5試合連続の予選落ちを喫した。
「ショットのタイミングが合わない。ティショットも曲がってしまって、ピンを捕らえられる場所に打てないし、パットもリズムが早くなりすぎていた。自分のゴルフが出来ずに苦しかった」という。

それでも、今年2月に初めて合流した妹、藍さんのオフ合宿で学んだ。
「自分のやるべきことをしつこくやり続けること。結果どうこうよりも、長い目で見て取り組むことの大切さ」。
目に焼き付けて帰ってきた妹の姿に励まされて、5月の3試合で長尺パターに挑戦したり、一度は「失敗した」というフェードボールを改めて、取り入れたり地道に取り組むうちに、出口は少しずつ見えてきた。

先週の関西オープンでは「狭いコースで良いショットが打てた」と、今季自己ベストの16位タイをマークして、「それが自信になって、そのまま来ている」。
ようやく、波に乗れそうな気配が出てきた。

藍さんは今週、米女子ツアーのカナダオープンで首位タイにつけて、7月のエビアンマスターズに続いて早速、今季2勝目のチャンス。
「あいつは苦しい中で、結果を出すから本当にすごい」と妹に関心してばかりでは、いられない。妹にも負けない活躍で、被災地にメッセージを贈りたい。

関連記事