今シーズンは、ほぼ３分の１が過ぎたいま、痛感しているのは連戦の過酷さだ。昨年のファイナルＱＴでランク42位につけてプロ転向を果たした小平は、開幕までにトレーニングを積んで、万全を期してルーキーイヤーを迎えた。

「でもシーズン中にもトレーニングを続けることは、とても難しいのだ、と」。スイングの調整もまたしかり。アマチュア時代なら、試合が終わればしばらく日程が開いて、その間に感覚を取り戻すこともできたが、プロになれば「調子が悪くなっても試合は続く。ごまかし、ごまかしやるしかない」。

プレースタイルも、アマチュア時代のままではいられないと分かった。プロ転向前の昨年は、チャレンジトーナメントの「鳩山カントリークラブ・GMAチャレンジ」で、並みいるプロを抑えて優勝を飾った。
「あのときは、イケイケで良かった。ガンガン攻めて、それで何もかもがうまくいった」。
しかしいざプロになってみれば、もはや勢いだけでは通用しないと思い知らされた。

「グリーンも速いし、対応しきれなくなった」。
助け船を出してくれたのは、同期の薗田峻輔だ。
小平が日大２年で中退をして、プロ入りを決意したのも薗田の影響だった。
「峻輔がやれるなら、俺にもやれる」。
昨年は、彼のツアー初優勝にも大いに刺激を受けたものだが、「今はまだ、ライバルにもしてもらっていない。とにかく追いつかないと」と、まずはひとつの目標にしている友人に、「グリーン上では、もうちょっとゆっくりやれよ」と指摘を受けて、開眼した。

「僕はパットでもショットでも、打つリズムが速くなる傾向にある」と気付かされたことでどんな場面でも、落ち着いて対処出来るようになってきた。

新人の小平にとっては「すべてが初めての経験」。その中で「峻輔の存在がとても参考になっている」と、友人の助けも借りながら先週までの２週間は、久しぶりにじっくりと調整に時間をかけることが出来て「久々に、自分の納得のいくゴルフが出来ました」と、４アンダーは５位タイスタートに、笑顔もこぼれる。

先週は、10月の日本オープンの出場権をかけた予選会に挑戦。しかし狭き門に、権利獲得に失敗。それだけに、今大会は有資格者をのぞく上位９人に与えられる同オープンの出場権にかける思いはなおさら強い。

来るゴルファー日本一決定戦は、ナショナルチームのメンバーとして活躍したアマチュア時代には３度の挑戦、うち２度の予選突破もプロになれば、その舞台に立つことさえ容易なことではない。
「今度はプロとして、ぜひ日本オープンに出たいので今週はまずはそこを目指して」。
将来は海外ツアーでの活躍を夢見る21歳が、まずは日本でその土台を築く。

• 小平 智
• 薗田 峻輔