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キヤノンオープン 2011

石川遼は単独2位にも「まだまだ」

初日は65の好発進にも、石川は自分を戒めるばかりだった。圧巻の上がり4ホールも、出てくるのは反省ばかりだった。

後半のアウトコースは6番で4メートルのバーディは、「ティショットのリリースが速かった」。さらに7番は、パー5で圧巻のイーグルさえも、自嘲の笑みだ。
「真っ直ぐ行かそうとすると行かなくて、どうせ技術がないんだから、と開き直った時のほうが真っ直ぐ行く。不思議ですね」と、261ヤードの第2打は、スプーンで左のカラーまで運んで4メートルを決めながら、「でもティショットは左を嫌がって、起き上がり気味だったし」と、やっぱり納得していない。

8番は、奧から10メートルのバーディトライも「ラッキーでした」と、運で片付けいよいよ最後の9番は、右手前4メートルのバーディ締めにも「今日はそこだけ。今日一番いいスピード感でティショットは打てましたけれども、今日はその1回だけですね」と、小さくガッツポーズを握りはしたものの、大歓声を浴びてもニコリともしなかった。

ドライバーショットに、試行錯誤を続けたこの約2ヶ月間は、久しぶりの好発進にも、「内容としてはどうなのか。まだまだ、まだまだでしょう」と、頑として首を縦に振らない。

後半のハーフ30にも「浮かれる自分はまったくない。自分には、もっと出来ると考えるようにしたい」という言葉の裏には、5年後、10年後を見据えて絶対に、いまの自分に満足してやらないぞという強い意志がある。

史上最年少のツアー優勝をあげてからというもの、まさに一生分の経験をしたといっても過言ではない5年間を過ごしてきた。
数々の金字塔を打ち立ててきた10代を卒業した。いよいよ先月の17日に、はたちの誕生日を迎えて、「自分の居場所に満足していないか」と、自問自答している。

「一昨年には賞金王になって去年は3位に。メジャーもすべて経験して、今年もプレジデンツカップに選ばれて、来年もいくつかのメジャー大会にも出られることになって、いまはとても勘違いしやすい時期ではないか・・・」。

どんな偉業も、喉元過ぎれば熱さ忘れるではないが、それが当たり前だと思っていないか。現状で納得してしまっている自分がいないか。石川は、自分の心の奥深くまで注意深く観察して、ひとつの答えを導き出した。
「ここが僕のゴールじゃない」。
また「今日良くても、次どうなるかは分からない」。慢心して少しでも努力を怠れば「数年後には、痛い目に遭うと思いながらやっている」と、悲壮な覚悟でコースと向き合っている。

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