Tournament article
中日クラウンズ 2011
連覇がかかる、石川遼
「僕は本当にこんな難しいコースで勝ったんだな・・・」。
特にこの日は朝から強い風、午後からは強い雨。こんな日は、ポイントが絞られたフェアウェーや、硬く締まった打ち上げのグリーンが、ことのほか牙を剥く。
「ここでもういちどあのスコアを出そうとは、超プラス思考の僕でも思えない。ここにディフェンディングチャンピオンとして立っていること自体が不思議です」。
あの再現を期待する声を、この日もたくさん聞いた。それどころか、昨年以上の結果を待望する声も。
「でも、それを言ってくださる方も、まさか本当に去年以上のスコアを出せるとは、思って言ってないと思う」と、可笑しそうに笑うばかりで、本人はいたって冷静だ。
「去年も僕は、スコアに関してはそこまでこだわってプレーしたわけじゃないから」。
昨年の最終日は、「本当に、何をやっても上手くいくようなラウンドだったと思う」。
ショットも、パットも。「こう打てば寄る、こう打てば入る、といったふうに。サンドウェッジが、特に冴えてた。スイングもキレがあって、思ったとおりのプレーが出来た」。
そして18ホールを終わってみたら、とてつもないスコアカードが完成していた。
ギネス記録の「58」。
「自分でも、この先もう一生出せないな、と思ったくらい」
これ以上ないくらい完璧なラウンドも、石川には心残りがひとつあった。
最終ホールのバーディトライだ。
3メートルを、カップの手前でショートさせた。
昨年は特に「常にオーバーさせるつもりで打つ」ということをテーマにしていただけに、最後の最後にそれが出来なかったことを今も悔やむ。
「最後入って優勝、とショートして外して優勝では、雲泥の差だった。あれがしっかり入って優勝だったらこれ以上ない嬉しさ。いくら優勝が決まっても、最後のパットがしばらく頭から離れなかった」と打ち明ける。
「今年は常に、50センチオーバーで打てるかどうか」。1年越しに、改めて攻めのパットを肝に銘じた。
そして、石川らしい表現で、連覇への思いを吐露した。
「去年まで、自分のプレーはここ和合では通用しない、と思っていたのが、あの1日で変わった。今年、それを再確認したい。再アピールしたい。コースが自分に合っていることを、自分自身にも証明したい」。
一度きりでは終われない。