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とおとうみ浜松オープン 2011

矢野東は「予選通過が目標でした」と謙虚なそのココロは

この日2日目は、吹き始めるのが早かった。早朝は、凪の風も9時を過ぎたあたりから、丈高いパームツリーの大きな葉が激しくぶつかり合って、不気味な音を鳴らした。たちまち難易度は一変した。

「たとえば、右からの風ならドローでぶつけていったほうが、やりやすい」。
しかしあえて矢野は、風と喧嘩するのをやめた。

今年、開幕から4戦のうち、3試合で予選落ちを喫した反省からだ。

今季は、オフの調整が思いの外うまくいき、序盤から絶好調だった。「いつでも優勝争い出来る」。しかし、自信満々で挑むほどに、その壁に跳ね返された。

「調子が良いからと、攻めが雑になるからではないか」。
コーチの内藤雄士さんと、そんな意見で一致したのは今週の練習日。
「もう一歩上を目指して、もっともっとゴルフが上手くなりたいと努力して、その成果はちゃんと出ているはずなのに」。結果が出ないとイライラもたまる。
「素晴らしいショットが打てるのだから」と、攻めて結果を求めるほどに、遠ざかる。
「素晴らしいショットを打ったのだから」と思うほどに、スコアにつながらなければ落胆も倍になる。
その悪循環。
「そんなもんじゃない」と、思い直した。

「確かに、調子が良いときは、攻めるゴルフのほうが簡単なんです。ただひたすら思い切り打てばいい」。楽に流れていた。「実は、一歩引く方が僕らプロゴルファーにとっては難しいんです」。コースと、心のマネジメントが実現出来てこそ一流だ。

片山晋呉と最後まで賞金王を争った2008年。当時はそれが出来ていた。「前に池やバンカーがあると、機転を利かせて起こりそうなミスを避けていた」。
原点に返った。
「今週は、まず予選通過を目標にやる。それなら、そんなに全部チャンスを入れようとは思わないはずだし」。
イライラも、出来るだけやめた。
「怒っても良いことない」。
この日は4番で池に入れた。「奧にバンカー、手前に池。クラブ選択に悩んで・・・。でも行ってみると、バンカーに入れてもきっと簡単に脱出出来た。どうして、ちゃんと事前にチェックをしておかなかったんだろう」と、自分の甘さにキレかけたがぐっと我慢でボギーでしのいだ。
8個のバーディは通算10アンダーにして、4位タイで今年2度目の決勝ラウンド進出だ。
「でもやっぱり週末になれば、アンパイ(安全牌)に行こうと思っても気持ちが入る。バックナインに近づけば近づくほど、ピンに向かって打って行くんだろうなあ」と、苦笑していた。

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