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とおとうみ浜松オープン 2011
地元出身の河瀬賢史(かわせまさふみ)がトップタイ
静岡県は浜松市の富岡出身。新しい家族と掛川市に居を移してからも、「年に3、4ラウンドしに帰ってくる」。浜名湖に面したこのリンクス風のコースは、風が吹かない日はほとんどないとも言われ「怖さも嫌というほど知っている」。
この日初日の早朝こそ穏やかな天候も、やはり時間を追うごとに風は強くなり、「そうなるともう、とにかくショットは曲げずに安全なところに置いて、あとはグリーン回りで勝負するしかない」。
左のエッジからチップインバーディを奪った6番や、左足下がりのラフから残り57ヤードを直接入れて、イーグルを奪った13番など、小技を駆使して64の
自己ベストの8アンダーは、最終18番で2メートルのバーディ締めに地元ファンの喝采を浴びて、31歳の笑顔が輝いた。
地元のスター軍団「チーム芹澤」の一員は、開幕直前に師匠の芹澤信雄からのアドバイスも効いている。「フェースが開いて寝て入っている」。教えられたとおりに修正した。
「芹澤さんに見てもらった途端に、ショットも良くなった」と、準備も万端に記念すべき初日を迎えた。
今年新規の「とおとうみ浜松オープン」は、特定のスポンサーがおらず、地元市民の手作りの大会として、発足した。
「今までにないような試合でその第1回目。僕の中では思いっきし浜松っ子。上に行きたい気持ちがあった」。
今年は東日本大震災による自粛ムードで、ゴールデンウィーク恒例の浜松祭りも中止となった。それだけに「この大会は、盛り上げたい」という気持ちは人一倍。
まして家族みんなに見守られての好発進なら、なおさら嬉しい。
ツアーは3年前に、初の本格参戦。
17年前に脳梗塞で倒れ、車いす生活を送る父・泉さんは不便をいとわず「今のうちに息子のプレーをたくさん見ておきたい」と、奥さまの禎代さんの手を借りては南は福岡、北は北海道まで、どこまでも応援に駆けつけてくれたものだ。
残念ながら、当時は初シード入りに失敗したが、昨年のファイナルQTはランク14位の資格で再びツアーに舞い戻った今年こそ、そんな父親を喜ばせたくて仕方ない。
「今週は、家からも近くて父も来やすいですしね」。
恩返しの舞台は整った。
写真=ホールアウト後に、家族みんなで・・・!! 父親の泉さん、母・禎代さん、9つ上の世話女房・祐子さん、長男で8歳になる智哉くんと。