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とおとうみ浜松オープン 2011
石川遼とのラウンドは、「一番くじ!!」とは、地元・浜松在住の袴田さん
「ただただ、大会を見たかった。それだけなんです」とは、地元浜松市にお住まいの袴田祐之さん、42歳だ。あとから抽選で、プロアマ戦の出場権が当たることは知っていたが、「まさか、僕に当たるわけがない」と、まったく欲はなかったのだ。
「・・・でも、もし本当に当たったら、スミマセン。水曜日はお休みさせていただきます」と、勤め先で冗談交じりに話していたことが、現実のものとなった。
17日(火)に、同市の「グランドホテル浜松」で行われた開催記念パーティは、翌日に控えたプロアマ戦の組合せ抽選会で、自分の番号が呼ばれたときには「心臓が止まりそうになった」という。
無理もない。一緒に回るのは、あの石川遼。しかも、もうひとりは樋口久子プロ。豪華な顔合わせは、ギャラリーも観戦可能なこの日水曜日のプロアマ戦で、スタートの1番から大ギャラリーを集めて、袴田さんのプレッシャーは尋常ではなかった。
やはり抽選で当たった同組の朝比奈利充さん(同市在住、49歳)と、ティグラウンドの隅っこでモジモジと、それでも「石川選手はプロとして素晴らしい人間性をもたれている」(朝比奈さん)。
トッププロ2人の優れた人柄に、徐々に打ち解け、袴田さんはホールアウト後も興奮さめやらぬといった表情で、「本当に幸せな時間を過ごすことが出来ました」と、胸を押さえた。
一方の朝比奈さんには、思わぬハプニングもあった。ラウンド途中に足がつってしまったのだ。歩くのも困難な状態に、見かねた石川がこの人を呼び寄せた。
専属トレーナーの中田健さん。
きゅうきょ、手厚いマッサージを受けて、みるみる回復した朝比奈さん。ホールアウト後も、中田さんから親切丁寧なアドバイスを受けて、恐縮しきりだ。
「筋肉の断裂とかは起こしていないので、大丈夫ですよ。水分は十分に取ってください。回復が早くなります」。
神妙な顔で、うんうんと頷く朝比奈さんに、中田さんの一言が激動の1日を象徴していた。「いろんな意味で、思い出になりましたね」。
もちろん、袴田さんも感激しきりで、「今日は宝くじに当たったようなもの」。前売りチケットの売り上げ総数は5410枚。うち、石川と回れる権利はたったの2枠。非常にまれな確率を、みごと射止めた。「一生分の運を使い果たしちゃった」と、笑った。
袴田さん、朝比奈さんだけでなく、ほか86人の一般アマチュアのみなさんにも、最高の1日となったはず。「みんなで作るゴルフトーナメント」。それが、今年新規の「とおとうみ浜松オープン」の合言葉だ。
地元有志のみなさんの熱い思いを乗せて、いよいよ19日(木)に新しい歴史の幕が開ける。