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ANAオープンゴルフトーナメント 2012
歴代覇者の細川和彦は「思い出します」
しかし、7年も勝ち星から遠ざかっている選手は、「ぼーっとしてた」。つい傍観者になって、自分もその立場であることを忘れていた。「慌てて頂きに、行ってね」と笑う。
大会側が、駐車場に用意した歴代チャンピオン用の専用パーキングにも気づかずに、この日は玄関からずいぶん遠くに止めた細川である。
キャビンアテンダントの方から大輪の花を受け取って、それでようやく思い出したことがある。
1999年大会は、涙のツアー通算5勝目だった。あのとき、18番グリーンサイドには思いがけない人の姿が。とっくに帰路についていると思っていた師匠の尾崎直道。
「そういえば顔を見た瞬間に、ずいぶん泣けてきたなあ、と。なつかしかった。ぜひもう1回あのシーンを、と思えた」と、気分よく輪厚の森に出ていった。
40回の記念行事は、41歳の闘志をくすぐるにも十分だった。
前半のインコースはおとなしく、すべてパーでまとめると、後半は3番のパー3で4メートルのバーディを奪って勢いづいた。それから3連続バーディで順位を上げてきた。
先週は、持病の潰瘍性大腸炎の兆候が出て、1日に10回も便座に座った。今週はせっかくの北海道も、「昨日もかけうどんでおとなしく」。体調不良も「長くやっていればいろいろあるし」と達観しきって好スタートに、「だってリキんだら、“出ちゃう”しね」といたずらっぽく、「ちょっと悪いところがあったほうが、逆に力が抜けてゴルフが良い場合もあるんです」。
これも、プロ20年の経験から悟ったことだ。