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日本オープンゴルフ選手権競技 2012

宮里兄弟は、地元の声援を力に

本土復帰40周年の今年、この日本一決定戦が初めて故郷で開催されると決まったときから、兄弟の願いはひとつしかなかった。「とにかく大会が盛り上がって欲しい」と、聖志も優作も、声を揃えたものだ。

特に優作は、「せっかくこれだけ大きな試合なのだから。盛り上がってくれれば、自分のことは別にどうでもいい」とまで言った。
とはいえ、JGTOが主管する普段のツアーと違ってJGAが主催する今大会は、出場カテゴリーが異なるため、当初は2人とも、権利すらなかった。予選会をかねた6月の地区競技「九州オープン」で、3位タイで並んで資格をもぎ取った兄弟は、いざ大会が始まると、自分のことは別にどうでも良くなくなった。

家族はもちろん、親戚、友人ほか地元ファンが大挙して駆けつけた2日目。
「下手なプレーは見せられない、という良い緊張感」と優作。

強い風、深いラフ。ここで生まれ育ったとはいえ、難条件には変わりない。
初日は「風が思っていた以上に強くて、ショットのイメージを消してしまった」と言う。
独特のティフトン芝も、今年は春先によく似た芝質のアジアンツアーに参加して、「人よりは免疫があった」とはいえ、「沈むより、浮いちゃったほうが難しい。自分も久しぶりで、感覚を取り戻すのに時間がかかった」と、手を焼いた。
「バーディを狙うより、パーを積み重ねていくゴルフ」。
じっと我慢が呼び込んだこの日のアンダーパーだった。

初日から石川遼と同組に、改めてふるさとの人たちの温かさを感じた。
「普段、遼くんと回ったら、すごくアウェイの雰囲気で」。しかし、今週は誰もがどの選手にも平等に、良いプレーには大きな拍手で、残念なシーンには「ああ〜」と選手と一緒に、まるで自分のことのように残念がってくれる。

「僕と一緒の昨日、今日はいわば遼くんがアウェイだったと思うけど。沖縄の人たちはちゃんと他の選手も応援してくれるので」。それが優作には嬉しくて、ますますプレーに気持ちがこもった。

今季は開幕前に、腰を痛めて最初2戦でいきなり棄権。そのあと5戦連続の予選落ちには「ずっと就職試験に落ちてる気分」。8試合目にやっと通った。そこからじわじわと調子を上げて、「勝ちたいのは勝ちたい。そのために、自分にはいま何が必要か」。ツアー初Vをにらめる心境にも、なってきた。

「最近は聖志と同じスコアになることが多くて。明日、明後日には同じ位置にいて、それが優勝争いになれば最高ですね」。
そして兄も「地元のファンを、がっかりさせたくはない」と、踏ん張った。
11番パー4では、サンドウェッジを握った70ヤードの第2打がカップインしてイーグルを奪った。

リーダーボードに弟の名前を見つけて気合いが入った。
「優作に離されたくない」。
弟とは3打差の通算8オーバーで迎える決勝ラウンド。
「パーで上がるのも大変なホールがたくさんあるけど、本当にたくさんの人が応援してくださっている。明日からも良いプレーを見せたい」と、兄弟揃ってさらなる上昇を誓った。

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