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日本オープンゴルフ選手権競技 2012

昨年3位の佐藤信人が今年も好発進

42歳のベテランともなれば、一度でもコースを回れば、「カットラインも、優勝スコアもある程度は想像がつく」。

しかし、今回ばかりは、「いくつで回ろうというのも全然なくて。ただ目の前の1打を一生懸命にやるだけ」。それしか攻略の手が見当たらない。

スタートの10番でさっそくバーディも、喜ぶどころか「このあと、絶対につらい時間が来る」と覚悟していた。狭いフェアウェイ。ティフトン芝はすっぽりとボールを覆い隠して、グリーンの傾斜はめっぽうきつい。

それだけならまだ良い。
そこに、体も思わずよろめくほどの突風が加わった。「気が狂いそうというか、ずーっと歯を食いしばっているような状態で」。

せめて出来ることといえば「何が来てもいいように、心構えをするしかない」。
幸い、ショットは安定していた。
「僕にしては良かった」と、どうにか1オーバーにとどまって、ほっと息つく。
首位タイのスタートは、もちろん「満足のいくスコアです」。

前日水曜日の夜に、那覇ゴルフ倶楽部のレストランで行われたチャンピオンズディナー。夕方近くの準備中に、たまたまその場に居合わせた佐藤は、「僕もまかり間違えばこれを着て、出席できてるとこだった」。

今年、歴代の覇者たちは、おそろいの「かりゆし」を着て勝者の晩餐を楽しむことになっていた。ネクタイとワイシャツに代わる沖縄の夏の“ホワイトカラー”。その民族衣装をそっと手に取り、しばし昨年の今大会に思いを馳せた。

「去年、僕はツアーの人間ではなかった」。
シード権はおろか、出場権も持たず、この日本一決定戦は、大会独自の予選会を突破して、その年2戦目に臨んだ。
V争いの末に単独3位に入って、劇的な復活劇を演じた。

「あのときは、それまでずっとツアーはテレビで見るばかりで、打ちのめされてはいなかった」。
久しぶりの試合だからこそ、「良い意味で欲もなかった」。“一発大逆転”にも、伸び伸びと挑めた。

「でも今年は散々打ちのめされて来ているので」。
たとえ2年連続の好スタートにも、昨年の再現という気持ちにはまだなれない。、
今季は17戦で、予選通過はわずかに4回。「3年ほど留守にしていた間にツアーのレベルが上がっていて。カットラインも自分が思っているよりも、1打2打は良い」と、決勝ラウンドに進むのさえ苦労している状況だ。

今週は、昨年に引き続いての好発進にも今回は、コースの難しさも相まって、「これからどうなるのかという心配のほうが大きい」と、なかなか前向きな心境にはなれそうにもないが「どこかで一発かみ合えば、去年のようなこともあるかもしれない」と、一縷の望みに賭けている。

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