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〜全英への道〜ミズノオープン 2012
ブラッド・ケネディがツアー初V、2度目の聖地へ
「彼と二人三脚で勝ち取りました」。バッグを担ぐのは、3年来のコーチでもあるマイケル・ジョーンズさん。昨シーズンもキャディとして支えてくれた恩人も、今年はこれが初タッグ。再び組むなり、さっそくの栄冠に「彼のサポートにはとても感謝している」。
ケネディにとって、今年はツアー初Vを期して迎えたシード元年。しかし開幕戦から思うようなゴルフが出来なかった。先週、2週間のオフは里帰りして、久しぶりにジョーンズさんにさっそくスイングを見てもらったが、「何も悪くない。相変わらず良い感じで振れているよ」と、ジョーンズさんは答えるばかりだ。
では何が原因なのか。「実際にラウンドを見てみよう」ということになった。帰りはジョーンズさんと成田行きの飛行機に飛び乗った。
初日は大雨の中のラウンドで、ジョーンズさんはすぐに気づいた。「今の君は、優勝を意識しすぎて先のことばかり、見すぎている。次のホールで気持ちを切り替え、もっと1打に集中すればいい。そう、去年の君みたいにね」。
プロゴルファーでもあるジョーンズさんのアドバイスに狂いはなかった。
17歳からの4年間を、開催コースの地元・岡山県で過ごしたというジョーンズさん。日本語が堪能な彼の案内で、美味しい日本食に舌鼓みを打ちながら、よもやま話にも花が咲いた。
すっかりリラックスしたケネディは、日に日に調子を上げていった。
昨年大会は5位。もともと、ここJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部とは相性も良かった。また昨年は、12月に母国ツアーのニュージーランドオープンで、自身2度目の優勝を経験しており、かたわらに信頼のおける相棒がいてくれればもはや、余計なプレッシャーとも無縁だった。
いよいよ首位タイで迎えた最終日は「彼の綿密なマネジメントは相変わらずで、今日はほんとうに完璧なゴルフだった」とジョーンズさんも褒めたように、スタートの連続バーディで大混戦からじわりと抜け出すと、あとはほとんど危なげなく逃げ切った。
アジアンツアーで9年、ヨーロッパで2年。ワンアジアツアーで2年間を過ごして、日本ツアーは一昨年から本格参戦。
来日を勧めたのは、奥さんのナレルさん。
出身のゴールドコーストは、風が吹かない日はない。故郷で鍛えたコントロールショット。「あと、妻は僕が速いグリーンが好きなことを知っていたので。そんな僕のゴルフスタイルが、日本のコースに合っているのではないか、と。彼女自身はゴルフのことなんか、全然分からないのにね」。
とはいえ、ナレルさんのお見立ては、お見事だった。
ファイナルQTランク19位の資格で初参戦の昨季は、賞金ランク29位であっさりと初シード入りを果たすと、今年はその1年目にツアー初V。
「日本は飛行機で行き来しやすいし、妻と5歳の娘と1歳の息子。会いたいときにすぐ会えますね」と、家族にとっても良いことずくめも、妻の策略?!
昨年も、今大会上位4人の資格で初のメジャー舞台を踏んだ全英オープン。しかし、義理のお父さんの誕生日祝いにと、本番の2週間前に家族揃ってタイ旅行。「そこで飲み食いが過ぎてしまって」。
不摂生がたたって予選落ちに終わった二の舞は演じない。
「今年は準備万端で行きます」。
2度目の聖地で、リベンジだ。