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とおとうみ浜松オープン 2012

片岡大育(かたおかだいすけ)は「欲を言えば優勝したい」

7時のトップスタートでティオフしたこの日は早朝からすでに、荒れ狂う風にも片岡は、むしろ勇んで出ていった。

難条件に、本当なら「セーフティに行くところ」。
しかし、この状況ではどんなに安全に行っても、「絶対にボギーは打つ」と、片岡は読んだ。
「だから、そのかわりにたくさんバーディも獲れば、ボギーの数を上回れる」との目論見も、現実はそれほど簡単ではなかった。

11番ではアゲンストの風に、ティショットが210ヤードしか飛ばなかった。
しかしそこからバーディを奪った。残り195ヤードの第2打は、3番のユーティリティを使って低弾道で攻めた。

「ピン筋に飛んで、狙い通りに5メートルについた」。
奥からのバーディチャンスを沈めるなど、3つのボギーに対してバーディは4つ。

当初の計画どおりにこの日は1アンダーにまとめて、「この風の中で、よく出来ました」と、童顔の頬に充実感がにじむ。
「風の中のゴルフは嫌いじゃないので」とこともなげにいった。香川西高校を卒業してすぐの2007年は、19歳でプロ転向してからの数年間は、とてもじゃないが言えなかった台詞だ。

当時は「風に打ちのめされた」。

ツアーで何度か経験した強風下のラウンドに、対処しきれずめった打ちにあった。
「これじゃいけない」と“風対策”に乗り出した。

「たとえば、クラブを短く持ったり、どれも些細なことなのですが」。あえて強い風の日にコースに出ていったり、さまざまに工夫を凝らした日々が生きた。

昨年は、賞金ランク45位でシード権を獲得したアジアンツアーでも鍛えられた。
欧州との共催試合が多く、ヨーロッパのゴルフにも魅せられた。
「大会の雰囲気も、選手も。すべてがかっこよく見える」と、あこがれの舞台でもがき戦ううちに、磨かれていった技。

昨年のファイナルQTランクは45位では出場権がなかったが、主催者推薦をいただいて出番を得た今大会は、2年ぶりに息子のバッグを担いだという父親の和人さんも、「球筋が以前とは全然違っていて。この風の中でも力強く飛んでいく」と、その成長ぶりに目を細める。

「あまり口数は多くない」という親子も、グリーン上で迷ったときは、饒舌になる。打ち合わせも入念に、最後は「自分が思ったラインに向かって迷わず打て」との父親の力強い声にも、背中を押されて踏ん張った。

「欲を言えば優勝したい」。
絶好の位置で折り返して、23歳の夢が膨らむ。

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