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Thailand Open 2013

今野康晴が「昔は良かった」

本人には、これがもちろん今季初戦だが、「開幕戦は、あくまでも東建です」。ワンアジアとジャパンゴルフツアーの共同主管で行われるこの「タイランドオープン」は、確かに両ツアーの賞金ランキングに加算されるが、ジャパンゴルフツアーの“開幕戦”は、約1ヶ月後の東建ホームメイトカップであることに変わりない。

「そこに照準を合わせて、暖かいところで調整出来る」と、2011年に持病の椎間板ヘルニアと首痛を併発した今野にとっては、なおららうってつけの舞台に、そうにらんで出場を決めた今野だったがはるばるタイまで来て思いがけず、胸によぎるものがあった。

各国の選手が、入り乱れてがむしゃらに競い合う会場のこの空気には、見覚えがあった。

もう、15年以上前になる。
今野が、デビューしたての頃だ。
「日本の出場権がなくて。とにかく稼ぎ場所を探して飛び出した」。
アジアンツアーがまだ“アジアサーキット”と呼ばれていた時代だ。

「わけも分からず、ただひたすらに頑張っていたころ。あの頃は、結果すらも求める余裕もなかったんです」。
そこで、思いがけず味わうことになった美酒は、97年のマニラオープンだった。
「勝つつもりなんか、全然なかったのにね。勝っちゃった、という感じで」。
やはり酷暑の国で、汗にまみれてつかんだ勝利の嬉しかったこと。

ここタイに来て、あのころの自分を思い出した。
ただ無心でクラブを振ったあのころ。
「昔は良かったな」と、しみじみとかみしめながら迎えた初日は5アンダーと、上々の出だしにむくむくと、首をもたげてきた思い。

年齢と経験を重ねるにつれて、いつしか結果ばかりを追い求めるようになってしまった自分だが「あのころみたいに、こういう試合も嫌がらずに出て行かなくちゃ!」。
今年40歳が、新人のころの初々しさを取り戻して自身の今季初戦で、好スタートを切った。

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