Tournament article
日本オープンゴルフ選手権競技 2015
史上最年少の日本アマ覇者! 金谷(かなや)拓実さんが8位タイ、有望アマも続々!
「左のバンカーから寄せた上りの3メートルをしっかりとしのぐことが出来た」。
18番では、やはり左のバンカーから刻んで、70ヤードから1メートルに寄せたパーパットを沈めた。折り返して2番から、2ホール続けて再びしぶいパーパットを拾った。
広島国際学院高校の2年生は、前夜の水曜日から緊張していた。今年7月の日本アマを制して初の出場権を得た今大会。「この大会に出ることが夢だった。憧れの日本オープンなので」と、夜は10時に就寝しても、30分ほど寝付けず、夜中にも一度目が覚めて、「朝はスタートの4時間前に起きるようにしているので」と、3時半に起床。
しかし、寝不足も感じないほど「高ぶっていた」と、興奮とプレッシャーを感じながらも、冷静にボギーなしの3アンダーで上がってきたのは、さすが史上最年少のアマ王者。
通学の電車内で「日本アマに勝った子だよね」と、男性に声をかけられ、その反響の大きさには、驚いた。「ほんとうにものすごく、ゴルフが好きな方だったんですね」と、照れながら、自身は「以前と何も変わらないように、つとめている」と、自身4度目のプロの試合も謙虚に挑む。
今大会の出場が決まってからというもの、ホームページで会場の六甲国際ゴルフ倶楽部のコースレイアウトをたたき込み、開幕までに頭の中で何度も仮想ラウンドを繰り返してきた。豊かな想像力で、各ホールを想定したティショットも練習場で打ち分けるなど“下調べ”も万全に、いよいよこの晴れ舞台を迎えた。
昨年、女子ツアーで史上最年少優勝を飾った鹿児島高校2年生の勝みなみさんとは今年、ジュニアの対抗戦で初めて出会い、今はラインで連絡を取り合う仲間だ。
先の日本女子オープンで、堂々V宣言した勝さんに、感心した。「またいつ勝ってもおかしくない選手だけれど。それを自ら口に出すのは凄い」と、さっそくメール。
「凄いこと言ったね!」
「・・・後で後悔」。すぐに帰ってきた返事に思わず笑った。「めっちゃ面白い人なんですよ」と交流を深める中で、金谷さんも大いに刺激を受けている。
「予選通過をしてローアマを取ることです」との当初の目標も、初日に首位と3打差の8位タイで出れば、再び周囲もざわめく。17歳のアマチュアが、勝てば1927年の第1回大会を制した赤星六郎氏に次ぐアマVは、実に88年ぶりの快挙だ。
「こんなに良いスタートが切れるとは思っていなかったし、3日目が終わって狙える位置にいればもちろん勝ちたいですけれど」と、そこで金谷さんは言いよどむ。
勝さんに、プロのツアーで勝った秘訣を尋ねたことがある。すると、自分の左頭上を指さして「このへんに、もうひとりの私がいた。あのときの私は自分じゃなかった」と、これまたユニークな受け答えにならって、「僕も、ここらへんにもう一人の自分がいれば」。照れくさそうに、左の頭上を指さした。
さて、アマチュア選手が当たり前のように、優勝争いに絡んでくる昨今。金谷さんとは1打差の2アンダーで初日を出た池田悠希(ゆうき)さんは、まだ中学3年生(佐世保市立崎辺)。まだ伸び盛りの身長163センチは、ババ・ワトソンを理想の選手にかかげて逞しい胸筋で、めっぽう飛ばす。
この日は、出だしから2つボギーが先行しながら、最後の9番も逞しくバーディ締めで、初出場の今大会で初日20位タイにつけて「持ちこたえられたのは良かったけれど、明日はもっと気を引き締めていかなければ!」。
そのほか来季のプロデビューを目指す、大阪学院大学の長谷川祥平さんは、1アンダーの35位タイ。「16番の4パットがもったいなかった」と、ダブルボギーで一度は失速しながら、後半4つのバーディで、これまた逞しく盛り返してきた。
「明日も、明後日も、最終日も頑張ります」。もはや、予選通過は第一の目標ではないのだ。