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三井住友VISA太平洋マスターズ 2015

バッバ・ワトソンは「飛距離より、バーディが欲しい」

朝から大雨の御殿場で、世界のレフティは、スタートからナーバスだった。「僕は、雨の中のプレーが苦手で。これまでのキャリアの中でも雨の日に、あまり良い結果を残したためしがない」と、不安な気持ちで出た3日目は、5番で案の定やらかした。
ドライバーで打ったティショット。「会心の当たりだと思ったけれど。飛ばなかったね」と苦笑い。「キャディのテッドとも、ドライバーが壊れちゃったのかな、と」。

雨の中では桁外れの飛距離もかえって凶器に。「雨の日は、スイングスピードが、おかしくなってしまう」と本人も、ここでは思いも寄らないまさかの“チョロ”。なんと、120ヤードほどしか前に行かずに、大失態。「それでも花道にレイアップして、パーは取りましたよ」と澄まして胸を張ったのはご愛敬だ。

昨年は77を打った大会3日目。鬼門の日に今年は雨中の御殿場で、バッバは懸命に格闘していた。3番では2打目もピンクドライバーを握る“直ドラ”にもトライ。「ドライバーなら届くかな」と、2オン狙いにも失敗して、平凡なパーに終わったかと思ったら、あれだけ明日はスプーンで打つと言っていた6番でまた、「バンカーを越したかった」とドライバーを握り、330ヤード超を記録するなど「自分でも、あそこまで行くと思わなくて」と、なにやらすったもんだの1日。
9アンダーを記録した初日ほど「パットも決められなかった」と、もがきながらもイーブンパーで持ちこたえて「明日に向けて、チャンスが残った」。どうにか首位と2打差にとどめて、笑顔も戻った。

悪天候の1日には今年、ここ太平洋クラブの名誉会員に迎え入れられたその栄誉を、改めて噛みしめた。「今日はこれだけ雨が降っても、コースの状況が全然変わらない。キーパーさんをはじめ、コースのスタッフのみなさんが、日頃どれだけ努力しておられるか。分かりました」と賞賛を惜しまず、それだからこそここでの勝利へ思いが募る。

最終日最終組でもまた、相対する片山晋呉。「ものすごく良い選手だ。この雨の中でも着実にグリーンに乗せて、パットを決める。安定感のあるゴルフで完璧なゲームをしていた。あのゴルフをしていれば、リーダーズボードの上にいるのは納得出来る」と、相手に不足はない。「この大会に、出場している選手なら、誰もが優勝トロフィーを持って帰りたいはず。僕も勝ちにこだわっていく」。

この日は3日目にして、ようやくドライビングディスタンスでランク1位に浮上したが「明日は飛距離よりも、バーディが欲しい」。飛距離でどんなに賞賛を浴びても、18番で優勝杯を掲げる喜びに勝るものはない。

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