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フジサンケイクラシック 2015
修造魂炸裂だ! 平本穏(ひらもとやすき)が5位タイ浮上
ここ富士桜カントリー倶楽部は標高100メートルの高地に、通常よりも球が飛ぶと選手たちは感じており、平本も「そこから常に10ヤードマイナスして計算するように心がけたら距離感があってきた」と、ラウンド中に攻略法を見直したことで、後半は3つのバーディを積み上げた。
ここのグリーンもまた、悩ましい。「切れないように見えて切れるとか、目には見えない傾斜がある」と、14番では1メートルの下りフックと読んで、「カップ淵を狙って打ったのに、まっすぐ行ってしまったとか」。
絶好のチャンスもいくつかカップに嫌われながら、しぶとく粘れたのは昨晩、食事のあと立ち寄ったコンビニで、購入した1冊の本によるところが大きい。
かねてより、自己啓発本には目がない29歳が、「今からプロテストを受ける研修生にも是非読んで欲しい」と、絶賛するのが元プロテニス選手の松岡修造さんの本。
「人生を強く生きる83の言葉」。
定価1000円は「それ以上の価値がある」。初日から、予選落ちを怖がってプレーしている自分。「80打ったらどうしよう、とか」。今週も、初日に1アンダーで回ってきながら「ここから落ちたら立ち直れん」と、震えていた。
「メンタルの弱さをなんとかしたい」と藁をも掴む思いで手にした本に目からウロコが落ちた。種目は違えど、世界を舞台に一時代を築いたトップアスリートの言葉には説得力があった。
「まるで自分に言われているみたい」。いちいち、心に響く珠玉の言葉の数々に、
すっかり心打たれた。反省した。先週のRIZAP KBCオーガスタは、3日目に5位タイにつけて言った。
「ベストを尽くして、どんな結果でも受け入れます」とは、実は逃げだったとは、これも松岡さんの本を読んで悟ったことだ。
「一生懸命やって崩してしまう自分が怖かったから。“どんな結果も受け入れる”って、たとえば75や80を打っても受け入れられるわけないんですよ。悔しくないわけがないんですよ」。
先週は、結局24位タイに沈んで、谷口徹に「おまえはまた、しゃべり過ぎたんだろう」と叱られたが、今回は私語を慎んでも結果が出なかったので、余計にどうしたらいいか分からなくなった。
結果を受け入れるのはいいとしても、もう一歩突き詰めて「昨日よりは今日、今日より明日を目指して、今日した失敗を二度としないと心に決めること」。その気持ちが自分には足りなかったと気がついた。
怖くなったら「今までこのショット何万発打ってきたんだ」と、練習を重ねてきた自分を信じる気持ちが今まで持てなかったことにも気がついた。
「人間って、言葉ひとつで変わるんですね」と、実感したこの日の2日目。
平本にとっては、この富士桜は日本一難しいコースである。「富士山からの風、グリーンの形状、圧迫感のある高い木。ティショットもセカンドショットも何もかもが大事で、気が抜けない」。
マイNO.1コースで、2012年から4度目の出場にして初めて臨む決勝ラウンドでも、修造魂全開で行く。