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RIZAP KBCオーガスタ 2016

石川遼が首位タイに

4年ぶりの芥屋。石川が、留守にしている間にツアーで唯一の高麗グリーンも、新キーパーの改革によって、新しく生まれ変わって難易度が飛躍的に増したが、強い意志は揺らがなかった。

「他の選手はどうでも、ここは、このクラブで打って行くのがいいんだとか。このコースでの自分の型はブレていない。アメリカでも出来なきゃいけないこと」。

ドライバーは多少、曲がっても、「今日は2,3度しかフェアウェイに行かなくても、僕ががっかりするというのは、ほとんどないので。そこからどうやって、スコアを作っていくか」。
前半は折り返しの18番では、ラフから210ヤードの2打目はフライヤーを計算し尽くした会心のショット。7番アイアンで、右奥3メートルにつけた。
「曲がり幅は、カップ2つ分フック」と、微妙なイーグルトライも、今週から戻したL字パターで難なく沈めた。
とことん貫く攻めの姿勢で、福岡のゴルフファンを安心させた。

2月から5ヶ月あまりの戦場離脱の原因となった腰痛の不安を、みじんも感じさせないアイアンショットのキレと距離感。長く試合を離れていた分、本人も「危惧していた部分」を払拭する好調ぶりで、2010年のフジサンケイクラシック以来の初日首位に立った。

そればかりか、「6番や7番、あと9番も」と、取りこぼしたチャンスすら、悔しそうに振り返り「あと2つくらいは伸ばしたかった」と、貪欲だった。

4年ぶりの芥屋で、兄がリーダーボードのてっぺんに居座ったこの日。8つ下の弟は、2つのダブルボギーを叩いたばかりか、ついにひとつもバーディが獲れずに最下位に甘んじたが、兄は優しく言った。

「失敗したことを、気にすることはない。次に生かせばいいんです」。前夜は、航さんのキャディをつとめる妹の葉子さんも一緒に3人で、初日の戦略を立てたそうだが、まだ経験の浅い高校2年生には「そのとおりにいくわけがない」と、石川は微笑み「それよりも、大会に出させてもらって、プロの試合を経験させていただけること」。

航さんは、今年5月の「JJGAスプリングジュニアチャンピオンシップ」で優勝を飾って主催者推薦を受けた。
その年、顕著な成績を上げたジュニアに出場権を与える今大会の「ジュニア育成プロジェクト」は、2006年からスタートした。
石川自身が2007年に、17歳でツアーの史上最年少優勝を飾ったのもその一環だった。

表彰式で、涙ながらに感謝の思いを語ったのも、昨日のことのようだがその後の石川の破竹の成長ぶりは、もはや言うまでもなく「このように、ジュニアにもチャンスを与えて門出を開いてもらって、本当にありがたい」と、兄も改めて主催者に礼を尽くした。
「航も出させてもらった感謝の気持ちを持ち続けていれば、どんどん上手くなれる」と弟妹と初競演の今週こそ、最も大きな成果をおさめた第一人者は背中で語る。
「明日から自分との戦い。日に日に思い切りよくやっていきたい」。身上の攻める姿勢もまだ序の口だ。
  • 初日最下位となった航さんは「スコアは悪いですけど、明日も1打1打大事にして少しでもいいスコアで回りたいです」2日目も葉子さんとの二人三脚で踏ん張る

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