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RIZAP KBCオーガスタ 2016
石川遼が2打差の首位で最終日へ
「昨日の練習場から、少しカット目に入ってしまうのが増えていて。50球打って、良いショットは1,2打くらいという状況」。ショットが散らばり、この日のパーオン率も44.44%にとどまったが、その分、この日は小技が冴えた。
ホールアウトしてすぐに、先輩プロらと挑んだ前代未聞のニアピンコンテスト。あえてギャラリーの拍手と大歓声の中でにぎやかに打
つという珍イベントでは惜しくも宮本には敗れたが、石川も絶妙の寄せを見せた。
本戦では、14番のパー4で約40ヤードの2打目が入りかけ。「入ったと思った」と、もうあとひと転がりの寸止めには悔しさのあまりに、思わず膝から崩れ落ちた。
「逆目で、最後少しのぼってる。コーライの分、最後きゅっと止まりました」と、苦笑いのタップイン。
グリーン上では、最後の窮地もしのいだ。
18番のパー5は3打目でも乗せられず、左手前のバンカー土手から不自然な姿勢で打った4打目のアプローチは、微妙な2メートルが残ったが、ほぼ直角に曲がるスライスラインを読み切った。
天気が荒れる予報の最終日を前に、2打差を死守して「最後まで、我慢し続けられれば効いてくるさ。良い準備をして明日に臨みたい」。
前日26日に、11月のワールドカップの代表選手が発表された。石川もリストに名前を連ねた。日本勢として、世界ランク最上位の松山英樹から、ぜひもう一人のペアにと指名を受けたときは驚いた。
松山は、出るからには勝ちにいくと相当に気合いが入っているという。「そのための相手は、遼じゃなきゃ嫌だと。聞いてマジかよ、と」。
ちょうど同週開催の「カシオワールドオープン」は、大事なホスト戦。「でもヒデキと一緒に出たいと思った。僕のわがままです。理解してくださった主催者のみなさんには、本当に感謝したい」。
それと石川にはもうひとつ、それに次ぐ大きな課題があって、2月に腰痛を患ってから、実戦に丸半年も穴を開けたこと。「まだ100%と言い切れる状態ではない中で、今から3ヶ月で間に合うのかどうか」。
松山の気合いに応えるゴルフが大舞台で出来るかどうか。
「頑張って仕上げてきてくれと、ヒデキに言われた。もっと頑張れと、言われた気がした」と、今月半ばに松山から連絡をもらってか
らのリハビリ練習には、ますます力が入ったものだ。
相方を安心させるためにも「11月までに、1試合でも良い結果が出せれば」。気持ちが急く石川にとっても今週の復帰2戦目は、自分を選んでくれた同い年の最強ペアにも、何よりの朗報を届けるチャンスだ。
「多少はヒデキの心配が半減するかな。結果で裏付けることも出来る。気持ち的にもやれるんだということになる」。4年ぶりの芥屋でのV争いは、11月に控えた世界舞台に向けても、大事な最終日になる。