先週末に学んだ飛ばしの秘訣が生きた。北の大地で37歳がのびのび振った。危なげないゴルフでボギーなしの7アンダーで回ってきた。

5月の最終週に、２つのメジャー切符をいっぺんに獲得した谷原。それぞれ日本予選を突破して権利を掴んだ全米オープンと、全英オープンはその間の大事なホスト試合では予選落ち･･･。

先週の「ISPSハンダグローバルカップ」は、全米帰りの直後でグリーンのタッチが全く合わない。ペンシルベニアのオークモントGCは「今までにやったことのないスピードと傾斜。マスターズより難しい」と、ボールにそっと触るだけというパットを4日間、やり続けて帰ってきたら、今度はカップに全然届かず、「でも打ったら打ったでオーバーするし、感覚が追いつかない」と、ISPSの看板プロが無念の帰宅をした。

予定が空いてしまった週末は、自宅で色々考えた。高速グリーンに侵されたパットの感覚を取り戻すのには日薬しか効かないとしても、全米オープンで見たトップランカーたちのスイングには、すぐにでも取り組む必要があると感じた。
「彼らは飛距離が出るのに方向性もある。球がねじれないのが本当に凄い」。カブレラやホーシェルら、向こうで目に焼き付いたスイングを、思い返すにつけてもなんとか近づく秘策はないものか･･･。

ネットサーフィンをしていて見つけたのが、日本のドラコン王だった。
レッスンにも定評がある安楽拓也プロはDVDも出していて、7枚組で約2万円也。
「安い」と飛びついた。アマゾンは、注文して翌日には届くから嬉しい。
期待を裏切らないその内容も、谷原には嬉しかった。

もはや「安楽先生」と、谷原は呼んだ。「今のところ、僕の師匠です。DVDにサインが欲しい」とまで心酔したアマとのマンツーマンのレッスンビデオは、「自分も教わっている気持ちになれた」と、目からウロコ。
「力感、下半身の使い方･･･。来週はこれやってみよう」と、DVDで仕入れた飛ばしのコツは、初日から同組で回った薗田や永野ら若手にも「そんなに置いてかれなかったし自分の中でも大満足」と、2日目の大爆発につながった。

ボリュームたっぷりのDVDは、購入からまだ2枚しか見られていない。「全部、見終わったときにはどうなるのか」。まだまだ何かを掴めそうな予感に、ムフフの谷原。
今季はここまで“8試合”のうち予選落ちは3回あるが、決勝ラウンドさえ通ってしまえばこちらのものだ。
全米オープンでの51位をのぞく、4試合ですべてトップ10入りに「そうだったんだ！」と、本人も自覚をしていなかった今季の好調ぶりに、自ずとツアー通算12勝目の期待も高まる。

• 谷原 秀人
• 薗田 峻輔