SMBCシンガポールオープン 2016

昨季の新人賞! 宋永漢 (ソンヨンハン)が日本ツアー初優勝

記念すべき初優勝の地は、シンガポールだった。2015年のルーキー・オブ・ザ・イヤーが、世界1位を退けて、悲願の日本ツアー初Vを飾った。

日曜日の夜は眠れなかった。雷のために止まってしまった最終ラウンドは、16番で3メートル半のパーパットを残して引き上げてきた。「続きのプレーのことを考えておかしくなりそう。晩ご飯も食べられなかったし昨日は、スピースのことが嫌いになりました」。
現在の世界ランク1位は最後の18番ホールで、2メートルのバーディチャンスを残していた。暫定首位に立った2日目には、3つ下の選手に焦がれて「一緒に回りたい。どうか上に上がってきて」と、笑う余裕もあったがいざ、背後にぴたりと追走されると、誰よりも怖い存在になった。

「昨日は長い長い夜」。明けて、7時30分の競技再開は、まさに悪夢か正夢か。「すぐに18番から大きな歓声が聞こえて、スピースがバーディを決めたんだと分かった」と、恐怖に追い打ちをかけたのが、再開ホールでのハプニングだ。

前日は、競技が止まってすぐに確かに3メートル半のところに置いたマーカーが、なぜかカップまで50センチのところに寄っていたのは、誰の仕業か。競技委員の立ち会いのもと、元の場所に戻して事なきを得たが月曜日は2ホール半のV争いは、不穏な幕開け。
「ラインは難しくなかったですが、あの状況では緊張しまsた。もう神頼みで、パーパットを決めましたよ」。次の17番でも1,5メートルのパーパットを夢中で決めた。1打差のまま迎えた最後のパー5もフェアウェイからの2打目を確実に刻んで逃げ切って、思わず涙目。

昨年の日本ツアーは賞金ランク15位で、最優秀新人賞島田トロフィを獲得したが、勝てなかった。「今年は必ず一勝」と誓った2016年は、まさに今季初戦でいきなり悲願を達成だ。
「しかもスピースを負かすなんて。そんなプランもなかったですから。本当に特別な一週間になりました」。一度はおびえて毛嫌いした世界一。「・・・昨日の夜だけですよ!」。世界ランク1位に君臨する今のスピースは誰にとっても、特別な存在だ。戦いの場を離れれば、憧れだけがそこにある。

今年最初のチャンピオンには、特別なご褒美が待っていた。宋(ソン)の優勝会見と入れ替わるように現れたスピース。世界一から祝福を受けて、ちょっぴり照れながら切り出した。「・・・一緒に写真を撮ってもいいかな?」。ついさっき、母国で吉報を待つ父母には、電話でV報告をした。スマホで撮った2ショットは、特別な1枚となった。

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