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RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメント 2017

復活の初Vに挑む上井邦裕は「生きているのが幸せ」

最終組があがってすぐの18番グリーンで始まったHKT48さんの歌声が練習グリーンまで聞こえてきて上井もノリノリ?!
3日目にして吐き気も、腹痛も完全に癒えた。初日はうつむくだけでこみ上げたほどの苦しい食当たりから、完全回復した上井が、最終日を前に首位タイに躍り出た。

序盤から、勢いがあった。1番をバーディで飛び出すと、6番では20ヤードの3打目をチップイン。イーグルを奪うと、波に乗った。
14番では右1.5メートルを沈めて連続バーディを奪った。最後の18番では、左手前のラフから完璧な寄せ。
ピンそばの楽々バーディで、池田と並んだ。

この日、最終組のひとつ前で一緒に優勝争いをした兄弟子は69で回ったが、「上井が非常に良いプレーをしていたので、自分が良いプレーとは思えない」と、脱帽した。「調子がいい。穴がないというか、ドライバーもアイアンも、アプローチもパターも。全部安定している」と、この日の上井を絶賛したのは藤田寛之。「チャンスじゃないですか。1回苦い思いをしているが、もともと力のある選手。頑張っている姿を見ているので、勝ってもらいたい1人。這い上がる姿を見たい」と、エールを贈った。
「期待を裏切らないように頑張ります」と上井。

ここ芥屋には2010年に8番で、“世界初の同一大会同一ホールのホールインワン”を達成してギネスに認定されるなど、大記録を残しながら、今年は主催者推薦を受けての出場だ。

この2年間はシード落ちを喫したまま。昨年は、出場優先順位を決めるファイナルQTで予選落ちするなどツアーの出場権すら持たない。
ドライバーの不振をきっかけに、スランプに陥った
特に2015年はつらかった。
「記憶にないくらいに悪すぎて。いろんなことをやり過ぎて、何が正解かもわからなくなった」。
そこに首のヘルニアが追い打ちをかけて、ついにどん底まで落ちた。

もがき苦しむ中で、そんな自分を気にかけてくれた多くの人たちの恩が身にしみるようになったのは、最近。
師匠の芹澤信雄をはじめ兄弟子の藤田や宮本はもちろん、「谷口さんには俺の言ったとおりにやっていない、と叱られながら。本当に、いろんな人に声をかけてもらった」。

20代のころはチーム芹澤の面々が、ハラハラするほどのやんちゃ坊主も35歳を迎える今年は、大きな心境の変化もある。
「最近では小林麻央さんが亡くなったり・・・若い人が亡くなったりするのを見ると、生きているのが幸せだな、と感じる。歳を取ったからかな」。

ゴルフが復調に向かうと共に、コースと向き合う心構えも変わった。以前のように、がむしゃらになることもなくなった。
「調子も良いので淡々と、楽しくゴルフをやっている」。完全復活をかけたツアー初Vを狙う最終日も「緊張はしますよ。でも昔とは違うかな。苦しいときは、本当にきつかったがそういうのも良い思い出にしたい」。
自身6回目の最終日最終組は、昨年の賞金王が相手だが、それも「あまり関係ない。相手は気にせず、楽しく回ってきます」と、最終日こそゴルフが出来る幸せを噛みしめながら、V争いを満喫したい。

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