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ANAオープンゴルフトーナメント 2017

池田勇太が大会2勝のホストV、ツアー18勝目で10億円

ホストプロが三つ巴のプレーオフを制した。輪厚で2度目の勝利は、また泣きそうだった。
「自分にとってこの大会は特別すぎて・・・」。
男泣きしたのは輪厚初制覇の7年前。「2010年は、ここで泣いた。今回は必死で止めた」と言っても、その声はプルプルと震えていた。

大会主催のANAとサポート契約を結んで4年目。
実は空飛ぶ飛行機を見ただけで、ボーイング何型かが分かるほどの航空ファンは毎年、水曜日のプロアマ戦で、歴代社長に優勝を約束してから初日を迎えるのが恒例だ。「ホストプロとして大役を果たさなければと毎年思う。そりゃあプレッシャーはある」。
約束しながら昨年は、18番のボギーで負けた。
今年もまた18番でボギーを打った。
今平と時松に、みすみす並んだ。
「自業自得。スパッと切り替えた」と開き直った。
「ボギーを打ってプレーオフにしたからバーディしかない」と、腹をくくった1ホール目。
先に時松が、ドライバーでフェアウェイど真ん中を捕らえた。
続いて池田もドライバーで、さらにその遠くに飛ばした。
時松が先にピンそばにつけた。
「やるな」と感心した池田。しかし「やられたらやり返す」と80ヤードの2打目はSWで、奥からバックスピンでさらに内側につけた。
バーディで引き分けると2ホール目こそ容赦はしない。フェアウェイからグリーンの奥に外した時松。
池田は再びピンそばに乗せてきた。
「2ホールともバーディが功を奏した。やっぱりバーディに勝るものはない」と、興奮で声を上ずらせた。
「この大会は、言い表せないくらいの思い入れがある」と、2勝目もまた溢れる思いを噛みしめた。

賞金王として迎えた今季。マスターズを皮切りに、序盤から海外を飛び回り、いや増すスポンサーへの感謝の思い。
特に今大会では出場全選手に、荷物の重量制限を免除していただくなど「ANAさんは、ホスピタリティが本当に素晴らしい」と、感謝は尽きない。
我こそがその恩に報いて平子裕志・代表取締役社長に「約束を果たしていただき、ありがとうございます」と、表彰式で逆に礼を言われて恐縮しきりだ。

これでツアー通算18勝は、恵庭を制した09年の初優勝を皮切りに、うち4勝が夜のすすきのも含めて愛してやまない北海道の大会である。
「またここで勝てたことも嬉しい」。
この1勝で、生涯獲得賞金10億円を達成した。
31歳269日目にして、ツアー制度施行後12人目の快挙は、片山晋呉が達成した33歳と89日を抜いて、最年少記録を更新した。
「記録は抜くためにあるし、抜かれるためにある」とうそぶいたが節目のプロ10年目。
「ということは1年で、1億円稼いできた計算になるのか」と、自ら歩いてきた足跡を振り返ればそこはやっぱり感慨深い。

何より大好きな輪厚で大会史上6人目となる複数回勝利の達成だ。
2度目の勝利は2ホール余分にかかったが、あこがれのジャンボが最多7勝を挙げていると思えば「1勝目はまぐれ。2勝目は勝って当然。3勝目くらいでやっと、ジャンボさんには許してもらえるかな。これで輪厚に3勝目の挑戦状をもらった」と、さっそく次のホストVをにらんだ。

大好きな北海道で、ますます思い出が増えていく。
「来年もまた、ここで勝ちたい。来年はここで20か、21勝目になるように。ここからまた頑張りたいと思います」。
これからも、ジャンボに負けない新たなドラマをここ輪厚で紡いでいく。

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