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パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2017

岩田寛が2番の2打目で歓喜

ヒロシがちょっと笑った。タケ小山氏と、薬師寺広さんのグリーンDJによる、16番のライブ感覚ホール「The Gallery Hole」。
ピンそばの50センチにつけた。
タケさんが「ヒロシ!」と絶叫した。

「タケさんがふざけていて恥ずかしかったけど。ギャラリーのみなさんは盛り上がっていたので」と、岩田なりに口角をあげて、応えてみせたが「あのショットが寄ったのは、たまたま」。あれほどのチャンスにつけながら実際の内容にはがっかりしていた。

本当に珍しく、岩田のテンションが上がったのはこのベタピンホールではなかった。
2番はパーに終わった一見、なんでもないパー4は、517ヤードと距離が長く最難関ホールで、フェアウェイから187ヤードの2打目を6番アイアンで、2.5メートルにつけた時。

「あのショットが今までにないくらいに良くて。いつもは悪いショットしか記憶にないが、今日はあの2打目のことをずっと考えてプレーしていた」。

昨季、本格参戦を果たした米ツアーでシード権が獲れず、入れ替え戦にも失敗し、いったん日本に帰ってきた今季もずっと、納得するショットが打てずに悩んでいた。

「ずっと悪い癖が出ていて、どうしたらいいのか。ずっと考えていて、昨日、昼ご飯を食べているときに、ひらめいたものがあった」と、さっそく成果を出せた2番の2打目は「スイングとか、音とか、スピン量とか。すべてが一致していた」と、その手応えが、ことのほか嬉しかった。

「向かう方向が、出てくれたので。いいきっかけになるのではないか」という明るい兆しが、岩田には珍しい、前向きなコメントを引き出した。

「悪い中でもこの位置に居られるということは、自分が思っているより、ちょっと上手いのかもしれない」と、ヒロシがまさかの自画自賛。
「もうちょっと調整して、明日は悪くても、優勝争いしたいです」と、ヒロシがまさかのV宣言?!

たとえ2年ぶりのツアー通算3勝目を達成できても、本音は納得いくゴルフが出来れなければ本人はあんまり嬉しくない。
それでも、どんな勝ち方であっても自分を支えてくれる人たちが、喜んでくれると思えばヒロシだって頑張れる。
「良い意味で、自分のことしか興味がない」とコースでは、自分のゴルフをどう立て直すしか頭になくても、それでも応援してくれる人たちのことは、ちゃんと視界に見えている。

「今日みたいに2番でいいショットが打てても、嬉しいのは自分だけ。でも勝てば、みんなが喜んでくれるから」。
みんなで分かち合える以上に、嬉しいことなどほかにない。最終日こそヒロシの満面の笑みが見たい。

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