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東建ホームメイトカップ 2018
新選手会長が打ち出した3つの施策
「お兄ちゃんは(家でも)ずっとそういうことを考えているみたい」。
今週火曜日の選手会総会では、就任初年度に絞り出した案を披露した石川遼。
「新たに取り組みたいことがありますので、みなさんにも協力をお願いしたい」と、約100人の出席選手を前に頭を下げて切り出したのは、3つの施策。
ひとつは、各大会のピンフラッグの製作と販売である。ギャラリーの方に、2000円で購入していただきそこに選手のサインを集めてもらったり、観戦の思い出に持ち帰っていただく。売り上げの一部はチャリティに充てる。さっそくこの開幕戦から、スタートさせる。
2つめはその日、活躍した選手がお客さんの集まるギャラリープラザ等で行う記者会見。こちらは当面、次週のパナソニックオープンでの実施を予定している。
そして3つめは、土曜日に予選落ちをした選手によるプロアマ戦の開催だ。
ひとつ目の試みは、すでに開幕前日のこの日11日から飛ぶように売れたばかりか、ギャラリーのみなさんが石川の前に差し出すピンフラッグが、他の選手のサインですっかり埋め尽くされているのを見て「みなさんも協力してくださっているという実感がすごくあった」と、さっそく感謝した。
さらに石川個人としては、所属先のカシオ計算機のサポートを受けて、今シーズンの獲得バーディ数分の電子辞書を、全国の小学生にプレゼントする取り組みを始めることも明かされた。
「僕も高校時代にカシオさんの電子辞書を使わせていただいていた。ゴルフの裾野を広げる活動の一環として、ゴルフも勉強も頑張る子どもたちを応援したい」と、自己最多を記録した2009年のバーディ数371個(イーグル含む)の記録更新にも気合いが入る。
そんな多忙な中でも、兄の役目もきっちり果たす。
日本に腰を落ち着けたこのオフは、まめに弟の航さんのゴルフにつきあい今週も、10日火曜日には共に練習ラウンドを回り、グリーン回りのアプローチレッスンなどに時間を費やした。
この春から晴れて日体大に進んだ航さんの実力について「他の強い学生選手に比べたらまだまだ。今週も絶好調でプレーできてパープレーくらいと思うが良い意味で、裏切ってくれたら嬉しい。1打1打を糧に持ち帰って、次につなげて欲しい」と、厳しくも優しい兄の顔になった。
エールを受けて「目標は予選通過」と話す弟の航さんも「お兄ちゃんは大変そう」と話したように、二足のわらじを気遣う周囲の声が聞こえてくるのも確かだ。
「心配をおかけしているとしたら、そういうのを払拭できる成績を出したい」と選手会長職を言い訳に、手をぬく気はさらさらない。
ツアー外競技の千葉オープンと岐阜オープンで“連勝”を飾っての国内開幕戦だが「まだまだ小さな波も、課題も修正もある。先週いい成績を出したからといって油断せず、気を引き締めてやっていこうという気持ち」と、両立を何よりの課題に掲げた。
実に6年ぶりに、帰ってきたこの国内開幕戦。
「まずはこの試合で勝ちたい。長期的な目標としては、世界ランキングの自己ベストの更新」。
2009年に、自己最高の29位を記録したが今は204位に甘んじている。
重責を背負いながらも世界を見据えて、完全復活への道のりを探る。