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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ ダイヤモンドカップゴルフ 2018
池田勇太が史上3番目の若さでツアー通算20勝目
32歳と275日目の到達は中嶋常幸、ジャンボ尾崎に次ぐ歴代3番目の若さ(※1)。
ジュニア時代から親交の厚い倉本昌弘の達成日数を、24日更新して「マッシーを抜けたこと。それが一番嬉しいかも。連絡しとこ。ネタになるので」。
現職のPGA(日本プロゴルフ協会)会長から、どんな祝辞が届くのかも楽しみだ。
「2009年の初優勝からあっという間。これだけ早く20勝できるとは。自分を褒めてあげたいし、関わってくれたすべての人にも感謝で一杯」。
最終日は、そんな輝かしい記録に見合う横綱ゴルフを池田はした。
1番で、2打目を左ラフに落としてボギー発進も、勝機はすぐ来た。
難易度1位の2番も「フェアウェイさえ打てればピンに打っていける自信がある」。
5Iで3メートルにつけると、この日ここでただ一人のバーディで、スタート時の躓きもすぐ「チャラに」。ダブルボギーを打った張二根(チャンイクン)に3打差つけた。「深いラフのコースは技術力の差が出る」。
6番では右5メートルのチャンスを沈めてこの日3つめのバーディで、さらに突き放すと早「今日は勝った」と確信した。
「周りが崩れちゃったし、追い上げてくると思える選手もいなかった。ここから自分は、全部パーでも勝てると思った」。
自信満々の圧勝劇場は、笑いが絶えない掛け合い漫才?!
テレビ解説の水巻善典プロも、「こんな笑顔の池田勇太は久々だ」。
「ハウスキャディのミカちゃん」。勤続9年の藤原美香さん。
「同じ丑年で、俺とちょうど、ひとまわり違った。俺のおふくろとのほうが歳が近くてショックだとか、どうのこうのと。美香ちゃんは、今日ラウンド中に、そんなことを散々言ってた」。
明るくにぎやかな会話の一部始終は、関西テレビの集音マイクが拾った。
パットを外しても、コミカルな動きで笑いを誘った。
ギャラリーの声援にも積極的に応えて歩いた。
「苦虫噛んだみたいな顔をしていても、しょうがない。明るい情報を、我々が提供しないといけない。笑顔で振る舞おうと意識したわけではなかったが、自然体で出たのは先週の日曜に、北海道に行ったというのがあるかもしれない」。
連覇がかかった先週のANAオープンは、大地震の影響で中止に。
大会中継の代わりの生番組に、石川遼と出演することになった。
きゅうきょ被災地に入り、変わり果てた町を見た。
「プロゴルファーとして、スポーツマンとして俺たちがやるべきことは何か」。
素早く問題を提起して、的確に行動に移す姿勢は13年から3期つとめた選手会長を離れても変わらない。
いまは現職の石川を立てつつ「いつも遼と電話やメールで話し合っている」。
大好きな輪厚(わっつ)で2勝を飾り、ANAのホストプロとして紡いできた当地の人々との確かな絆。
「この優勝も、テレビや新聞できっと見ていてくれる」。
愛する北海道にいち早く、最高の笑顔を届けたかった。
2009年の初優勝から10年連続の勝ち星は、73年のツアー制度施行後、4番目に長い記録(※2)だ。
選手会長の重責を背負って奔走した3年間は、こだわりの複数回Vこそ逃しても、「そういうときでも1勝ずつ積み重ねたのが、今に繋がっている。それがあったから、このスピードで20勝を迎えることが出来た」。
しみじみと、振り返ったのもほんの一瞬。
「俺の中では20勝もステップの一つ。次は25勝の永久シードにどれだけ早く近づけるか」。
さっそく次の偉業を目標に据えた。
「6打差にも自信がついて。来週からまた、胸を張ってやれる」。
今季前半期も海外に重きをおきながら、賞金ランキングは1位の今平周吾に約1400万円差と迫る第3位に浮上。
「これで、上にもプレッシャーをかけられる」。
16年に次ぐ、2度目の賞金王も視野に「ここからまたコンスタントに優勝争いして年内に2勝、3勝。頑張っていく」。
若手の躍進がつづく今季、32歳が反撃に打って出る。
※1)通算20勝到達時の年齢と大会名と通算勝利数
①中嶋常幸(30歳261日・85年関東プロ・通算47勝)
②尾崎将司(31歳118日・78年ペプシウィルソン・通算94勝)
③池田勇太(32歳275日・アジアパシフィック ダイヤモンドカップ・通算20勝)
④倉本昌弘(32歳299日・88年関西プロ・通算30勝)
⑤片山晋呉(33歳216日・06年フジサンケイクラシック・通算31勝)
⑥青木功 (36歳95日・78年日本シリーズ・通算51勝)
⑦尾崎直道(36歳119日・92年サントリーオープン・通算32勝)
⑧中村通 (41歳242日・92年ミズノオープン・通算20勝)
⑨杉原輝雄(46歳34日・83年デサント大阪オープン・通算28勝)
⑩Gマーシュ(46歳260日・90年東海クラシック・通算20勝)
⑪谷口徹 (50歳92日・18年日本プロ・通算20勝)
※2)毎年連続ツアー優勝記録
①尾崎将司 15年(1986年〜2000年)
②青木功 11年(1973年〜1983年)
②片山晋呉 11年(1998年〜2008年)
④杉原輝雄 10年(1977年〜1986年)
④池田勇太 10年(2009年〜2018年)継続中
⑥鈴木規夫 9年(1974年〜1982年)
⑥倉本昌弘 9年(1980年〜1988年)
⑥尾崎直道 9年(1984年〜1992年)