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カシオワールドオープン 2018

波乱万丈のルーキー!比嘉一貴が初シード入り

今年もこのカシオワールドオープンをもって、来季のシード権が確定した。昨年まであった第一、第二のシード枠は、今季限りで撤廃。
来季は出場義務試合数に満たないガルシア(ランク53位)とハーディング(同63位)とピーターソン(同67位)の3選手を除いた上位65人(同68位まで)がフル参戦の資格を得る。
紆余曲折を得て、しっかり圏内に食い込んだ。比嘉一貴が賞金ランク60位で、ルーキーイヤーの初シードを決めた。

波乱万丈の道のりだった。
昨年、東北福祉大の最終学年に受けた、QTサードで失格。だが落ち込む間もおかずに、アジアンツアーのQスクールに挑戦。
今季、亜二部ツアーの資格を得ると、4月のバングラデシュで、初出場V。

帰って6月。旧チャレンジのAbemaTVツアー「南秋田CCみちのくチャレンジ」で、国内プロ初V。
最初の躓きにもめげずに、着実に結果を残してきた。

そして10月。推薦で出たホスト試合のブリヂストンオープンから一気に3戦連続のトップ10入り。
その節目節目に、いつも偉大な先輩の存在があった。
アジアに挑戦しようか迷った時も、そして11月に、せっかく自力で権利を得た日本ツアーを蹴ってまで、アジアのシード獲りに向かった際にも、その背中を強く押してくれたのが、大学OBの松山英樹だった。

アジアと日程が重なった三井住友VISA太平洋マスターズは、ちょうど松山の国内初戦。
「先輩と一緒にやりたい」。だが一時の欲求を満たせば、アジアンツアーの出場義務試合は満たせず、道は途絶える。欧州ツアーとの共催が多い同ツアーの資格は、世界進出を目指す比嘉にとっては看過できないものだった。
同時にまた、そのとき日本ツアーの初シードはまだ微妙な位置におり、大事な岐路にまた松山を尋ねた。

電話に出た松山は、「お前は来年、勝つ自信があるのか?」。
国内での少ないチャンスを蹴ってアジアに向かい、それで結果、日本のシード権を逃しても後悔しないか?
松山の問いかけに迷わず「はい」と答えた。
「なら行って来い」。
今月初めには、疲れとストレスで、体中に蕁麻疹を作りながらも先輩同様に、より厳しい道のりを選んで歩いていくことに決めた。

「今年、何にもない状態から始まって、そこでチャンスを作って、広げて。日本のシードにつなげられたことはすごく頑張った1年」。
ほっとする間もなくこの足で、次週はアジアの二部ツアーで来季の出場権を確保するためマレーシアに飛ぶ。
「こちらはまだ微妙な位置。もしダメだったらまたアジアのQスクールを受けなおす」。
さらに大きな舞台を求めて、23歳は来季も飛び歩く。
「オフにパワーアップをして偉大な先輩たちに負けないように。契約させていただくブリヂストンを代表する選手になれるよう、頑張っていきます!!」。

<2018年の賞金ランキングで初シード入りを果たした選手>

15位 木下裕太
32位 R・ガンジー
40位 大槻智春
42位 R・ワナスリチャン
45位 嘉数光倫(かかずてるみち)
54位 木下稜介
57位 A・クウェイル
60位 比嘉一貴
68位 詹世昌(センセショウ)

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