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日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 2018
悪夢を経験した重永亜斗夢が宍戸で久々の60台
11番から3連続バーディを奪うなど、5アンダーで回って5大会ぶり、今大会では3年ぶり2度目の60台を出した。
宍戸では自己ベストの66で回って上がってすぐ呼ばれたギャラリープラザでの公開インタビューでも「まずは予選通過」と慎重に繰り返した。
国内開幕戦の「東建ホームメイトカップ」でツアー初優勝を飾ったはいいが、そのあと先週まで5試合全滅・・・。
ひとつも決勝ラウンドに進めず、谷口には「海外の招待海外選手みたいやな」と、嫌味を言われた。
「1回だけ優勝して賞金が変わらんの」と勝手に“スポット参戦”扱いをされても、ぐうの音も出ない。
「そういうこともありますよ〜」と、冗談ぽく言っても本音は「出来れば誰にも触らないでいて欲しかった」。
あのとき1打差で、石川に勝ったが、「遼くんが、勝ってくれたら良かったのに」とまで思った。
「勝っていろいろ考えた」と天国から一転、亜斗夢が悪夢を見た。
1勝した途端に変わる周囲の目線。
未勝利の頃ならちょっと調子が悪くなっても「下手だし、しょうがない」と言えば、それで許されても「優勝しちゃったら、そこから落ちるとみんなからいろいろ言われる。自分だって優勝に恥じないゴルフを、と思う」。
変なプレッシャーと、体調不良と、持病のお腹の不調と、ゴルフの不調。勝った途端にそれらがいっぺんに押し寄せ、「自分でも、どこまで(予選落ちの)記録が続くのか、と」。
そこまで思い詰めただけに、この日の好スコアは何よりの処方箋。「このコースで1日だけでもアンダーパーが出れば、薬になる」。
宍戸との相性は「相当悪い」と本人も認めたように、初出場の2013年から5年連続の出場も、予選通過は2015年(39位)の一度だけ。
首位タイで出ても、ちっとも安心できない苦手なコースで「とりあえず、明日は予選通過」とゴルフのアトムは呪文のように繰り返した。