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関西オープンゴルフ選手権競技 2018
負けてなお爽やか。アマの久保田さんが最終日のV争いで得たもの、感じたこと
単独首位から出た最終日は、1番で9メートルを決めると連続バーディで一気に3打差つけた。
「前半の久保田くんのゴルフは勢いがあって、パットが全部入る感じ。本当に素晴らしかった」と勝者の時松も讃えたほど序盤こそ、プロの威信を脅かすに十分のゴルフを久保田さんはした。
5番、9番では2打目をバンカーアゴにぶち当てボギーも、まだ1打リードで後半に突入。11番では6メートルのチャンスを読み切り再び2差に広げたが、洗礼はここからだった。
13番で「異変を感じた」。大きく右の林に飛んだ第1打は木の根っこ。2打目も林を出なかった。木と木の間を抜いた3打目は、グリーンの奥まで転がった。
そこからアプローチは今度は逆側の花道まで行って、5オン1パットのダブルボギーを打った。
ついに混戦にまみれて「プレッシャーかな。暴れ出した感じがあった。1打1打に集中したつもりでも、どこかで意識していたのかなと思う。見えない何かに左右され、自分のゴルフが分からなくなった」と、さらにとどめは15番だった。
再び右に曲げたティショットは、しかし「旗も何もあがらなかったので」と、暫定球も打たずに落下地点に向かったあと、OBと分かった。
全速力でティーインググラウンドまで駆け戻って打ち直しのティショットは、今度はしっかりフェアウェイには置いたが結局、またダブルボギーに二十歳の息はさすがに上がっていた。
打ち直しに戻ったこのホールだけでない。
「プロのみなさんに迷惑がかからないように。前の組とも出来るだけあかないように」と自分がミスをした時にはなおさら、どこも必ず駆け足だった。自身の大事なV争いよりマナーや礼儀を重んじる真摯なアマ精神を貫いた。
連覇がかかった今平と、ツアー通算3勝目を目指した時松に挟まれ挑んだ最終日最終組で得たもの。
久保田さんが挙げた「ショットの精度や飛距離の違い」はもちろん、そういった技術面以上に、二十歳の心に響いたこと。
「4日間、大勢のギャラリーの中で、回らせていただきましたが、凄く疲れた。これを毎週やっているプロのみなさんは本当に凄い」。
実際に、自身が身を投じてみないことには絶対に知り得なかったV争いの重圧と空気感。
主催者が、アマチュアにも広く門を開いてくださることで味わうことが出来た貴重な経験だ。
「今までのアマの試合とは、全然違う状況でのプレー。これからに繋がると思ってプラスに考えていきたいです」。
会場の小野東洋ゴルフ俱楽部は高校3年間、キャディのアルバイトに従事しながら技術とマネジメント力を磨いた思い出のコースだ。
「本当に凄くお世話になりましたので。3日目までは、少し恩返しができたのかな。プレー中も、たくさん声をかけてもらってこれからも、感謝の気持ちを持ち続けて頑張ります」。
第84回のローウェストアマの快挙はならなかったが、久保田さんは負けてなお爽やかだった。