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〜全英への道〜ミズノオープン at ザ・ロイヤル ゴルフクラブ 2018
いよいよ新たな歴史の幕があく
今年のミズノオープンの舞台を手がけたのは、ツアー通算16勝のレジェンド。1976年の全英オープンは単身、予選会から挑戦して10位に入った。“先駆け”はその後、JGTOの理事をつとめて、数々のトーナメントのセッティングを手がけた。
今はその経験とノウハウを活かして、同コースで監修をつとめる鈴木規夫氏だ。
1年前から、最長コースの改修に乗り出し、大会主催のミズノの契約選手として、大会の誘致にも尽力した。
「常に、新鮮なゴルフの形を提供したい。今週は、選手にも、ファンのみなさんにも未体験ゾーンを経験していただくことになると思う」と、主催者の一人としても、胸を躍らす。
天候や風によって、距離に変化をつけられるように、ティーインググラウンドは各ホールとも平均6つあたりを用意しており「どれを使うかは、細川選手とJGTOに任せてある」。
今週のコースセッティングアドバイザーを担当するプロゴルファーの細川和彦に一任する、とはいえ「9割は、鈴木氏の意向を汲む予定」と細川もいうように、16番はいまのところは、もっとも後ろのティを使って705ヤードのパー5とする予定という。
これを聞いて先週は、関西オープンで3勝目を飾ったばかりの時松隆光はつい、ため息。この日も、プロアマ戦で回ったが「16番は歩いても歩いてもカップにつかない」。
石川遼は、「16番はまずドライバーで打って、400ヤードくらい残る。そこから難しいパー4のティショットを打つというイメージ。スプーンで280ヤードから、290ヤード飛ばして、順調にいけば8番か7番アイアンで狙うことになるが、左にラフにつかまると、4オンもやっとという状況になる」。待ち受けるグリーンも、これまでの概念を覆すものだという。
「日本のスタンダードだと、手前から受けているコースが多いが、ここは奥に向かって下っている。世界のコースに目を向けてみると、そういうコースは多いのですが視界や距離感を惑わせる作りになっている」と石川は感心する。
8000ヤードを超える距離だけでない。ハザードの配置やフェアウェイやラフ、グリーンの刈り高など、鈴木氏が徹底してこだわり、作り上げた。
「ゴルフゲームの前提は圧倒的に、飛ぶ選手が有利。これは間違いない」と、鈴木氏。「しかし、飛ばない選手なら、ゲームの組み立て方。ゴルフはミスをするスポーツでもあるから、リカバリー力。距離は長いがラフの幅は、ゆったりと取ってある。総合力を問うセッティングにしているつもり」と話した。
先週優勝の時松も「間違いなく飛んだほうがいいが、ラフもけっこう深い。飛んで曲がらないショットメーカーがいい」と、頷いた。
昨年覇者のチャン・キムはまた今週も手首痛の状態が良くならずに欠場を決めた。
最長コースで昨年の飛ばし屋日本一の不在は残念だが、代わりにモンスターを制して頂点に立つのは誰か。
また今週は、全英オープンの日本予選をかねており、「向こうに行って、リンクスコースのほうが意外と簡単だった、と。日本で予選をやったコースのほうが、よほど難しかったという声が、もうそろそろ出てきてもいいじゃないですか」と、ニヤリと鈴木氏。
正真正銘の世界基準を目指した舞台作りへの挑戦は、いま始まったばかりだ。