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中日クラウンズ 2018

全米王者ここにあり!! Y・E・ヤンが日本ツアー5勝目

アジアで唯一のメジャー覇者が、和合で再び輝いた。全米プロ王者はやっぱりめっぽう強かった。最後は奥から下りの長いバーディトライで決して、46歳のガッツポーズも堂に入った。軽やかな身のこなしで、ウィニングボールを投げ込んだ。韓国のY・E・ヤンが日本ツアーで12年ぶりの通算5勝目を飾った。

1打差2位で迎えた大混戦の最終日は早々に首位を奪うと、後続をじわじわとふるい落としてついに上井との一騎打ちになった。抜きつ抜かれつ1打リードで迎えた17番が、勝負の分かれ目になった。

ヤンも上井もワンオンに失敗したパー3。先に芝の薄いライから打った上井が2打目を土手にぶち当て、バンカーに入れた。敵のダブルボギーに「これで楽になった」と自身はバンカーからそつなく寄せた。
このパーセーブで振り下ろした拳に漂わせた「80%の予感」。
ついに勝利の確信は、18番のティショットで最高潮に達した。
「3打差あって、ドライバーでフェアウェイ真ん中なら100%勝てるだろう、と」。
今大会は2004年の初出場から、3年連続のトップ10入り。
12年ぶりに戻った和合で、メジャーチャンプはなお強かった。
「過去のデータが自信になった」と初日から67を4つ並べた。
最後は奥から下りの8メートルもねじ込んだ。
得意の和合で4打差の圧勝には風格さえ漂った。

日本での4勝を足がかりに07年から世界を股にかけ、08年には全米プロ制覇。アジアのゴルフ史を塗り替えた。
10年には欧州のボルボチャイナオープンで勝つなど活躍したが昨年、ついにどこにも稼ぎ場をなくして帰った日本も、QT2次から挑戦するしか道はなかった。

メジャー覇者が屈辱をこらえて順当に勝ち進むと、12月のファイナルQTではランク1位で返り咲き。
「出来れば1勝。それでなくともシード権を」と挑んだ今季、復帰2戦目にしてさっそくブランクを埋めた。

今季、自前の電導カードでバッグを運んでくれる、7つ下のミジン夫人は、「僕に“もっとゆっくり”とか“落ち着いて”とか励ます係。歩測もラインもコースの仕事はぜんぶ僕」と、かいがいしく仕えるのはむしろ年上夫のほう。

3年かけて、一念発起の肉体改造で一時期、90キロを超えた体重も、今は82キロをキープ。
悩みだった足裏の痛みもなくなり、メタボと無縁の体で飛距離も10余年前のあの頃のまま。

アジア選手として唯一のメジャー覇者という称号も、9年たってもまだ、あの頃のままである。
「アメリカと日本の選手では、1打への集中力が違うように感じる。米ツアーで活躍するには、1打でも上で稼ぐという貪欲さも必要です」。

日本人選手として5人目となる快挙を手がかりに、今季アメリカに身を置く小平には3日目に、一緒に回って太鼓判。
「小平選手はドライバーも飛ぶし、アイアンもパットも上手い。また勝って、マツヤマ選手みたいになれると思う」と日本で5度目のV会見で、かつてのメジャーチャンプがこれから旅立つ日本の若手にエールを贈った。

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