Tournament article
ANAオープンゴルフトーナメント 2019
前日の42位から一夜で一変。石川遼が今季自己最多の8バーディ
前日初日はイーブンパーの42位タイにとどまった。出遅れを悔やみ、消沈していた背中。一夜明けると、もうそこになかった。
「予選も通れるかどうかという位置から出ましたけど、今朝にはもう、予選のことはよぎらなかった」。
昨年は、震災で中止となり、大会は2年ぶりの開催だ。
再開に際して今年は木金が、道民ギャラリーに無料で開放されて、この日も多くのファンが詰めかけた。
ハイタッチゾーンが設けられた4番と5番、14番と15番のホール間ではどこまでも途切れない人波とその熱気に「圧倒」された。
「選手としても、ありがたい取り組み。大会は地元の方々で成り立っていると思うので。僕らはできるだけいいプレーをして、来てよかったと思っていただけるように。協力したい」。
大会を待ちわびた北海道のみなさんに、前だけ見て攻める姿勢を見せられた。
進化の過程も披露した。
ドライバーいっ辺倒で、当時苦手の輪厚をどうにか制した15年大会。
「でも今回のゴルフは全然違う」。
ホールによってクラブや球を打ち分け、コースを巧みに攻略。
「体も見違えるほど、変わった」。
春の腰痛対策で始めた週3のトレーニングで体重は3キロ増。
背筋は盛り上がり、ウェアを採寸しなおすほど。
飛距離も伸びて、「ヘッドスピードが速くなったのも、成果」。
1打目は、2日間同組で回った若い飛ばし屋の星野陸也にもほぼ遜色なかった。
前日の冷え込みによる体の張りも、前夜のトレーニングで即解消した。
完璧な状態でコースに戻り、ボギーなしの8バーディは、今季の自己ベストだ。
6番ではバンカーからチップインを見せた。
後半16番からの3連続バーディの締めは、120ヤードの左のラフからPWでピン1メートルに着弾。
”歓声が、大空へ舞い上がる”
大会主催のANA契約プロが、この日最後の18番で今年の大会キャッチフレーズをみごとに体現した。
今週もまた先月の連勝に次ぐ今季3勝目を射程に入れて、来月の大一番にも思いを馳せる。
すでに、出場が決まった日米共催&日初開催の米ツアー「ZOZO選手権(10月24日〜27日、千葉県・習志野カントリークラブ)」は「きっと、御殿場(静岡)で行われたワールドカップ以上の盛り上がりになる」。
ウッズが18番で、劇的チップインを沈めた伝説の01年大会。
「あのときは、僕もテレビで見ていた。今回は、僕もロープの内側に行ける。ゴルフをやっててよかったと思いますし、ほんと楽しみ」。
夢の舞台まで、あとひと月ほど。
「それまでに、体もゴルフも鍛えあげていきたいです」。
目下、賞金1位を走る選手会長が万全を期して、世界の強豪を迎え入れる。