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マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント 2019
ゴルフ界の笑わない男。岩田寛が笑顔の首位発進
今年から、大会が始めたインターネットの生中継は、単なるインタビュー放送ではなくて、ギャラリーにも見える公開ブースの中でプロの握力測定や、色々楽しい趣向を凝らしてある。
質問コーナーは、数枚のカードをプロ自ら1枚引いて、それに答えるというもの。
「実は○○なもの」と出たメッセージに、うっすらと口角をあげながら、「実は、虫が嫌いです。カブトムシとカマキリは触れるけど、それ以外はダメ」と言って、中継ブースを笑わせた。
モニターの向こうには、解説をつとめる田中秀道。今大会は95年の覇者で、現在はJGTOのコースセッティングアドバイザーとして活躍する大先輩。
この日のピン位置も、田中の案によるものだ。
「おかげさまでありがとうございます。秀道さんのピン位置のおかげでです」。
6、7番の連続バーディは10メートルと、奥から急勾配の8メートルもの長いフックラインを立て続けに入れたもの。
後半16番のパー3は、20メートルが入った。
「時々、裏切られたりするが、今日はパターが良い仕事をしてくれた」。
プロ16年目の38歳は、プロ仲間も認める高いポテンシャルを持ちながら、ツアーはまだ2勝。
「僕の中では、ヒロシはもう8勝も9勝もしているイメージなんだけど、頑張って欲しい」と、田中から激励を受けて神妙にうなずく。
先週の「ZOZOチャンピオンシップ」は、地元・宮城県仙台市の自宅でテレビ観戦。日本で初めて開催された米ツアーは、15ー16年シーズンを戦い、15年の全米プロ2日目に、当時のメジャー記録となる63を出すなど活躍したが、シード権の獲得には至らなかった。
思いを残して帰国。
日本にルーツを持つ、米のザンダー・シャウフェレと親交はあったが「向こうはもう、覚えていないと思う」。
ウッズの最多勝利に沸いた翌週。
再挑戦への思いは胸の奥深くに秘めたまま、あまり良いイメージがなかったコースで、まずは大会初の首位発進を成功させた。