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三井住友VISA太平洋マスターズ 2019
世界を巡り巡ってきた宮里優作の疲れを癒す薬
欧州ツアーから戻った宮里優作が、久々に好発進した。
韓国の朴や、豪州のジョーンズらに並んで首位スタートを切った。
美しい富士山をバックに臨んだ公開インタビュー。
拍手喝さいを浴びて、「向こうでは、”誰だ、このアジア人”と。応援してもらうことがない。嬉しいです」。
真っ黒に日焼けした白髪交じりのひげ面を、ほころばせた。
2週連続で臨む今季の国内2戦目。先々週の水曜日に帰国して先週、初戦を迎えた地元沖縄の「平和PGMチャンピオンシップ」は「夜中にゴルフをしている感覚」。
それまで丸3カ月をヨーロッパで過ごして、ひどい時差ぼけが、抜けきれずに予選落ちを喫した。
「先週は、どっと疲れた」。
欧州かぶれの胃袋を、行きつけの沖縄そばで和風に戻して御殿場入りした。
初日は朝から強い風が吹き下ろしたタフな条件も、好相性のコースでパットが冴えた。
インスタートの10番で、7メートルを決めると11番は505ヤードの長いパー4。強烈な向かい風に、230ヤードも残った2打目を、3Wで1メートルに乗っけた。
連続バーディで弾みをつけた。
13、17番と6〜7メートルがまた決まり、18番パー5のイーグルトライも惜しかった。
後半アウトは課題のティショットに苦しみ伸び悩んだが前半5つのバーディで、ボギーなしの65。
「久しぶりに5アンダーが出せた」。
今季2シーズン目の欧州ツアーは苦難の連続だった
「歳は感じたくない。蓋をしている。見ないようにしているけど」。もう39歳。
5月にはぎっくり腰をやり、無理の利かない体で国境を越える旅を続けて「つらかった…上手くいかないことばっかりで」と、11試合連続の予選落ちも経験。
賞金ランクは165位にとどまり、シード権の確保には失敗。
でも「世界には色んなコースがあり、日本にはない課題が見つかる。向こうで上手くいってこそ、成功。いろんなルートから、また挑戦したい」。
17年の賞金王は来季、いったん日本に戻るが共催試合の多い亜ツアーのQスクール受験を計画するなど、再挑戦の機会を虎視眈々と伺う。
”ディルハム”はアラブ首長国連邦。”リンギット”はマレーシアだ。「お金の名前も毎週変わる」。欧州ツアーを転戦したこの2年は、聞きなれない通貨の名前を覚えるのもひと苦労だった。
中東では、ひどい砂嵐による競技中断も経験した。
身の危険を感じながら入ったサウジアラビアでは「前夜祭でマライア・キャリーが来た!」と、カルチャーショックもたくさん。苦労も多いがその分、やみつきの魅力が欧州には一杯落ちていた。
さて、そして今週は世界中を巡り巡って久しぶりに戻ってきた日本、思い出のいっぱい詰まった御殿場だ。
痛感するのは、若い選手たちの成長。
「みんな、やる気さえあれば、どこに行っても通用する。腰を据えて行くかどうか」と久々の首位獲りで、経験してきたばかりの先輩として、若者たちには世界進出を呼びかけ。
今大会は優勝こそないが、東北福祉大2年時の00年に、コース新の63をマーク。翌01年には、2打差の2位で、アマVの手前まで行った。
「明日もバーディ一杯獲ります」。
長い旅の疲れを癒す薬はバーディ量産と、2年ぶりの優勝だ。