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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2019
恩返しは一発大逆転! 今季2戦目の小林伸太郎が好発進
朝は大雨が降った初日はスタートの10番で、前日までの異変を即、察知。
ピン手前7メートルに落とした60ヤードのアプローチは、跳ねてグリーンの奥に出ていった。
辛くもパーセーブはしたが、「雨の中でも昨日より、硬くなっている」と、グリーン上の変化を見逃さずに、次ホールから番手やショットの強弱で器用に調整。11番から連続バーディを奪った。
序盤は、強い風雨も上手にしのいだ。
2アンダーで折り返した後半は急な向かい風の3番パー4で、グリーンに届かず2オンに失敗。「でもアプローチがいい感じで寄ってくれた」と、1メートルのパーパットを拾った。
「ここでボギーを打たなかったことで、流れが維持できた」と、ボギーなしの5アンダーをマーク。
初日の好発進に、周囲への感謝が増した。
佐野日大高校の3年時に日本ジュニアで優勝。東北福祉大の3年時に日本アマ制覇。09年のプロ入り後にすぐ活躍を期待されながら、初シード入りを果たしたのはやっと16年。
だが、翌年にはすぐ手放した。
「シードを落としたら、離れて行く人が多いと思っていたが、違った」。
初シード前から支えてくれる、兵庫県発祥の炭火焼き鳥店「焼き鳥まさや」の社長さんや、クラブ契約先「本間ゴルフ」のクラフトマンのみなさん。
「僕の場合はいま、ゴルフの分岐点が凄く強くて。球をコントロールする”オールド系”から、ドカンと打っていく”新しい系”へ。方向転換したのですがその際に、本間さんにはご無理を聞いてもらって。色々支えていただきました」。
従来と変わらぬスポンサーのみなさんばかりか、シード落ちしたからこそ「支えたい」と、個人出資をしてくださる方まで現れ驚いた。
7月のセガサミーカップで今季初戦を迎えたが、予選落ちを喫して今季レギュラーツアーの獲得賞金はまだ0円。ランキングさえまだついていないが、そんな小林には今週、推薦の手を差し伸べてくださった主催者の皆さん。
「最初出られるとは思っていなくて、要項が届いたときには本当にびっくりした」という。
今季は、すでに最終戦を終えたチャレンジトーナメントの「AbemaTVツアー」で賞金ランク7位につけて、来季前半期の出場権は確保してあるが、賞金総額2億円の今大会ならワンチャンスもある。
「お世話になっている皆さんのためにも明日、明後日、明々後日も頑張っていきたいと思います」。
苦労を重ねる男はそう言って、ペコリと真摯に頭を下げた。