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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2019
今年の初シード選手は11人。中西直人が異色の仲間入り
31歳の中西直人は大会を18位タイ、賞金ランクは72位から64位に食い込み逆転。プロ10年目で、初の仲間入りを果たした。
ありがとうの精神が、土壇場に福を呼び込んだ。
「今日は、自分を追い込んで臨んだ」と、4バーディ、1ボギーの「69」。
最後の18番パー5は5メートルのバーディパット。
スライスラインは読み切れても「上りを計算するのを忘れてしまった」と、1打も無駄にできない状況下で「最後の最後にショートした。シードに入れたとしても、まだそこまでの人間」。
シード権争いが佳境を迎える今週は、会場内のスコア速報モニターで大会の成績に応じて、仮想の賞金ランキングが確認できる。
通算11アンダーで上がった時点では微妙な位置に、まず反省を口にしたが、ボーダー線上で揺れ動いていた中西のランキングはその後、小一時間で定着した。
ファイナルQTランク17位の資格でレギュラーツアーを転戦した今季、国内開幕戦「東建ホームメイトカップ」で最終日を片山晋呉と回る機会に恵まれ「おまえ、面白いな」と、声をかけられ”開眼”。
「その時、晋呉さんは物凄いいいプレーをされて、技術で魅せられる人。でも僕はもの凄い下手だ、と。技術に対して僕は、何で魅せられるかと言ったら”笑い”じゃないか、と」。
勇壮なだんじり祭りで有名な、大阪の岸和田出身。根っからのサービス精神に磨きをかけて、常に笑顔でプレー。
「おはようございます」と、大きな声で挨拶。
応援されたら「ありがとうございます。…基本じゃないですか!」。
コースに出たら、ガッツポーズの代わりにヨガポーズ、とパフォーマンスでも魅せるプレーを心掛けたら、ジワジワと人気に。
特異なキャラに、今年JGTOが始めたファンとプロの交流イベント「ゴルフFANプロジェクト」の推しメンバーにも選ばれ活躍の場が増えると、この日は「俺だけの直人」と背中にプリントされたオリジナルのロゴ入りTシャツを着た追っかけファンも登場。
「そういう、僕のキャラを活かしてくれた人たちの声援にも後押しされて、今年は100点満点。みなさんのおかげで今年は間違いなく僕のベストシーズン。今までで、一番実りのある1年でした」と、感謝の初シード入り。
初のフル参戦が実現した来季、中西のライバルは踊る虎さん。韓国の崔虎星(チェホソン)は「パフォーマンスをしながらスコアも出せる。来年1年、勝負したい」。
待ってろ、虎さん! 直人がゆく。
<2019年度の初シード選手>
賞金7位 ジャズ・ジェーンワタナノンド(タイ)
賞金14位 スコット・ビンセント(ジンバブエ)
賞金21位 ガン・チャルングン(タイ)
賞金28位 ジーブ・クルーガー(南アフリカ)
賞金36位 ディラン・ペリー(豪)
賞金44位 ジョン・リチャード(カナダ)
賞金54位 佐藤大平
賞金55位 ポール・ピーターソン(米)
賞金56位 トッド・ペク(米)
賞金59位 金成玹(キムソンヒョン、韓国)
賞金64位 中西直人