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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2019
逆転なら最年少10億円。石川遼が今季のラストゲームで挑む偉業
もっともスコアが動くとされるこの日土曜日の気温は5.6℃。時折、みぞれ交じりの雨も降りだし、極寒の3日目。
「もったいなくて、全身には貼ってないですけど、背中に1枚。ずっと貼ってた」と、ロッカールームでカイロをしのばせ、朝の練習時はセーターに、ダウンジャケットを着込んだ。
グレーのニット帽は、耳下深くまで。さらにネックウォーマーをはめて完全防備でクラブハウスから出てきた。
練習場で十分に体を慣らしてコースに向かった。
1番で幸先よくバーディ発進。
「良いバーディで、スタートして。ムービングデーなので、ガッと上れると思ったんですけど、そこから我慢の展開になってしまった」。
厳しい寒さの中、序盤は苦戦した。
5番で連続ボギー。
「少し雲行きが怪しくなって、そこを切り抜ける時間が長かった」と、停滞ムードが続いたが「奥から下りのきつい1メートル半のパーパットが残った12番が山場でした」と、キーホールをしのいで終盤の波をつかんだ。
「ああいうパーで、トップには立てなくても食らいつく」と15番のパー3ではピンそば。17番のパー5はイーグル逃しのバーディで、首位と2差に詰め寄った。
今大会ではプレーオフに敗れて、ついに未勝利に終わった昨年。
いよいよ、今季のラストゲームは7月の日本プロと8月のセガサミーカップで自身初の連勝を勲章に、乗り込んだ。
就任2年目を締めくくる1戦で「本当に楽しくゴルフが出来ている」との言葉に、選手会長の充実感がにじむ。
先月には1Wの制御に苦しみ、バッグから抜いてプレーするなど、七転八倒した時期もあったがこの3日間を通じてフェアウェイキープ1位を維持するなど心晴れやかに、今年最後の18ホールに挑む。
先週で、逆転の賞金王は消滅したかわりに、15年大会を制した相性の良い舞台で土壇場の逆転Vなら、優勝賞金4000万円を加えて、生涯獲得賞金が10億円を超える。17年に、31歳269日で達成した池田勇太を越えて最年少での大台記録となる。
「明日の朝もよい準備をして焦らず、中盤まではいつも通りという感じでやれればチャンスはある」。
今大会、最終日の表彰式は恒例の全員参加の閉会式。
1年を総括する選手会長の挨拶は、Vスピーチと兼ねたい。