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フジサンケイクラシック 2019

パワーも個性もねじ伏せた。朴相賢(パクサンヒョン)が大逆転のV2

雨?水?
勝利のパットを決めた途端に突如、雨脚が強さを増した。15号の関東上陸前に、勝負を決した。
カタコトの日本語を交えたVスピーチで、2度も3度も繰り返したのはギャラリーの足元を気遣う言葉。
「台風が接近する中、どうか気をつけてお帰りください」。
最終日のパワーと個性の争いにも、ひょうひょうと割って入った。この夏のメジャーで自信をつけた韓国出身の34歳が、さらりと大逆転V。朴相賢(パクサンヒョン)が、3年ぶりのツアー2勝目を飾った。

4打差の3位で終えた前日3日目。首位で並んだ飛ばし屋キムと”踊る虎さん”との最終日最終組が決まった時、朴にはひそかな確信がした。
「2人が意識し合っている間に、自分は自分のプレーができれば僕にもチャンスがある」。
序盤から案の定、2人はけん制しあった。
キムの豪打はときおり乱れ、虎さんこと崔虎星(チェホソン)は、5番で池に入れるダブルボギーを打つなど、初日にコース新の62を出したムードはこの日はなかった。
2人の隙を突き、手堅いゴルフで前半3つのバーディ。
ゆさぶりをかけた。

怪物級のキムの飛距離は、はなから気にしなかった。
「僕は距離を出すより、方向性を重視。8割の力で振って、リズム感を大事に。正確さを心掛けてプレーした」と、初日の14番から59ホールでボギーなしのラウンドを続ける安定感で対抗。
また、踊る虎さんは45歳。朴には大先輩だ。昨季、米で独特のスイングが注目されて以降、ますますサービス精神旺盛だが、それも朴には母国ツアーで見慣れた光景である。
「先輩のパフォーマンスが僕には特に影響しなかったし、自分のゴルフに集中できた」と、13番では伸び悩む2人の間をぬって13メートルをねじ込むバーディ。そこから3連続を奪って一気に勝機を引き寄せた。

昨年は、母国で初の賞金王に。アジアンツアーでは賞金2位につけた。活躍の場を世界に広げた今季、7月はミズノオープン3位Tの権利で、全英オープンにも2年連続出場。当地でアジア勢最高位の16位タイの成績を収めた。
「強い選手に交じって自分がいま世界でどのくらいの位置かが見極められた」と、大きな自信を持ち帰った。「それが今週の結果につながった」。
パワーにも、個性にも惑わされない信念は、メジャー舞台で培った。

6歳と1歳の二男児の父。先週は苦手な福岡・芥屋(けや)で、また予選落ちを喫していったん母国の自宅に帰った際に、長男のシウォン君が満月の夜に願い事を書く幼稚園の行事で「パパが今週優勝しますように」と、書いてくれたらしい。
愛息の祈りが届いた。
2週後、再びの帰省は日・亜・韓に加えて今や欧州ツアーのシード選手として母国に凱旋だ。
史上初の日亜韓3ツアー共催「シンハンドンヘオープン(9月19日〜22日、韓国・仁川)」で、朴には自国開催での連覇もかかっており「歴史的な初年度の今年、ぜひ最初の勝者になりたいと思います」。
この日の喜びのまま、母国でもにしきを飾る。

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