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パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2019

国境を越えるたびに、日々新しい発見が…!! 大槻智春が今週も日亜のシード権を狙う

(左から)水野と大槻。何度も国境を越えてきたからこそ芽生えた友情です
マレーシアにインドネシア、台湾、韓国に今週は日本。この1カ月で、大槻智春は5か国を股にかけた。
日本ツアーでシード元年を迎えた今季、年頭はアジアンツアーのQスクールに挑戦。6位につけて、今年は日亜のWシードを狙っている。

欧州との共催も多いアジアンツアーで出場権が取れれば、世界進出も夢ではない。
春から積極的に日本を飛び出し、4月のバングラデシュでは少なからず衝撃も受けた。

治安に不安があるため、遠出はしなかったがある日、近くのモールを散策してみた。
「商品には砂が積もっていて…」。
コースと、オフィシャルホテルを往復するバスの中から見た車窓は「”北斗の拳”の世界のまんま」。
荒廃した近未来都市を舞台とした人気アクション漫画を実写化したかのような街の風景に息をのみながら、毎日通った。
カルチャーショックを受けて帰国した。

「思い切って日本を出れば、本当にいろんな世界があることが分かる」。
日本にいたら、知りえなかったような友人もできた。
練習日のこの日、隣で球を打っていたのは香港在住の26歳、水野眞惟智(みずのしんいち、=写真左)。アジア転戦中に知り合い、仲良くなった。

聞けば水野は6歳の時に香港に渡り、京都の同志社大に進学した際には一度帰国したそうだが、卒業後はまた香港に戻り、当地でプロ転向したという。
2年前からアジアンツアーを主戦場とし、昨年は二部のADTツアーで賞金ランク7位に。今季から、亜レギュラーツアーで初シードを目指しているというが、実は今週の出場権は、開幕を翌26日に控えた今も、まだない。

「ウェイティングの3番目くらいなんです」という水野。
先々週はインドの試合に出ていったん、香港の自宅に帰ってから日本へ。そんな面倒を重ねても、権利が発生するかもわからず「出場は難しそう」と、ニコニコしている3つ下の選手を頼もしそうに見ていた大槻。
「こんな選手もいるんだ、と。日本にいたら、分からなかったこと」。
国境もいとわず道を切り拓こうと懸命なその様子に刺激を受けて、大槻も気合が入る。

先週は韓国で行われた「Shinhan Donghae Open(シンハン・ドンヘオープン)」で初日6位も、結局32位タイに終わって「なかなか、そんな期待どおりにはいきません!」。
メゲずに再び前を向く。
今週の大会は、再び日本とアジアンツアーの共同主管だ。
両ツアーに賞金加算される美味しい試合で「今週も、もちろん上を狙っていきますよ!」。

大槻に比べてぐっとスリムなのに「人の4倍は食べる」という大食漢。食いしん坊の水野には、アジアンツアーで通訳など快く引き受けてくれたお礼も兼ねて、前夜3万円分もの焼肉をたっぷりとごちそうしてあげた。
そんな水野が無事、出場できるかどうかも心の片隅で気にしながら、いよいよ25日に初日を迎える。

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