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パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2019
師匠もまとめて水シャワー! 41歳の武藤俊憲が4年ぶりのツアー通算7勝目
仲間の水シャワーも4年ぶり。頭から豪快に浴びて「これぞプロの本懐。谷口さんに”何やってねん”と、叱られずに済んだのもよかった」。
実は師匠の祝いも兼ねた恒例儀式に安堵した。
1差の単独首位から出た最終日は激しいバーディ戦になった。
同じ最終組の今平、タイのジャズ、ひとつ前の組では石川ら、20代の実力者が揃って41歳を追ってきた。
武藤も出だしの1番から連続バーディで応戦したつもりが「3番4番ではちゃんとピンを狙って打てていなかった」。
5番で今平が、1差に迫った。
「ここまで来たら、勝つか負けるか。勝つにはどうするか?」。
06年に賞金ランキング17位に入ってからシードの常連も、今大会前の賞金ランキングは50位。
「今年の成績なら落ちるな」との危機感があった。
組んで12年目の小田亨キャディには最近、後ろ向きな武藤のゴルフに対して「狙うの? 狙わないの? 何がしたいの」とよく聞かれて、この日序盤も改めて問い詰められて「6番からピンを狙って打とうとなった」という。
9番からインコースをまたいで連続バーディ。「いつも最終ホールまでもつれるので18番を楽にしよう」と、さらに12番から一気に3連続。本来の攻めに転じて一時は6差つけるみごとな逃げ切りで若い選手を圧倒できた。
プロ19年目。「最近、この業界への慣れがあった」と振り返る。
シードは14年目。「全国のプロゴルファーがふるいにかけられた中で、その上に立っている」。その立場にも満足しきって「甘えじゃないですけど、練習量も少なかった」と猛省。
師匠と慕う谷口徹が、先週のシニア公式戦「日本シニアオープン」で、シニア初制覇を達成したことにも発奮した。
「いつも”谷口さんには負けないぞ”と、口では言っているけど、実は自分は心の底からではないのかな?」。
自問し、自身を奮い立たせた。
「(ピンを)狙わんでいいのにと、谷口さんにはよく言われますけど、それが僕のゴルフ。僕には谷口さんのゴルフができないので、そういう意味では僕の個性」と、持ち前の攻撃ゴルフを再自認して4年ぶりの復活V7。
賞金ランキングは10位に浮上し「僕もシニアに入った時に、”俺の一番のピークは40代だった”といえるようにしたい」と、新たな気力も沸いてきた。
この日、7時半にスタートした谷口は、昼前にはとっくに終えて、それから4時間半も、そのためだけにずっと残っていてくれたそうだ。
今や数いる弟子の中でも、武藤がもっとも古い。
一番弟子に、豪快に水を浴びせていたつもりの谷口が、なぜか一番びしょ濡れで、谷口本人も「なんでやねん??」。
実は先週、レギュラーツアーは韓国で試合があり、弟子らは師匠のシニア初Vを祝えなかった。
だから、今回の水シャワーは、ここで師匠の祝いも兼ねてしまおうという市原や大堀ら弟子らの魂胆だった。
「そうか〜、先週の俺の分も祝ってくれたんかあ〜」と谷口も、嬉しそうだった。
チーム谷口の”2連勝”。
自身の7勝目で、先週の師匠の分もまとめて二倍嬉しい水シャワーに出来たのも武藤には満足だ。