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日本オープンゴルフ選手権競技 2020

お姉さんの励ましは届く? 河本力さんが1差2位で最終日へ

視線の先に、栄光が見える?©JGTOimages
20歳の粗削りなゴルフが、大雨のすみれをにぎやかにした。日体大3年の河本力(かわもとりき)さんが、3日目の最終組でプレー。
一時は通算7アンダーまで伸ばして、3差で独走した。

フェアウェイバンカーからの2打目を3Wで狙った7番。大きく右に飛んだが、木に当たってラフに落ち、そこからカップをかすめるアプローチでバーディ。
「無謀な攻めはしないようにしているけど、行っておかないと後悔する。成功したのでよかった」と、気を良くした。

この日、単独首位でコースに出る前にリーダーボードを確認した際には難条件を察して「アンダーパーがいなかった。今日は2アンダーにしよう」。
”毎日3アンダー”としていた当初の目標を、下方修正したはずだった。
だが、9番では左奥から7メートルが勢いよくカップに飛び込み「バーディ取っちゃって、忘れました」と、前半2個目のバーディで、さらに気持ちが大きくなった。

忘却の攻撃に転じた途端、10番の第1打が「意味が分からないくらいに右へ」。ボギーでつまずいた。

13番では2Iのティショットが池に行ったとひやりとしたが、運よく木に当たってラフに落ちた。「それで狙っちゃおうと思ったのがだめだった。パーが欲しくてギリギリ狙って、それがギリギリ足りなかった」と、ラフを渡り歩いてダブルボギー。
谷原の逆転を許した。

「ボギーでいいやとやれば良かった。後悔しています」。

自慢の豪打も、60台を並べた予選2日に比べて、右に左に大きく散らばり、「理由が全然分からなかった。焦って、崩れてしまったのでまだ子どもだなと。反省しています」。

幾度も、殊勝な言葉を並べながらも右隣のホールに曲げた最後18番の大ピンチも、また懲りずに2打目は木と木の間を狙う大胆な攻め。
「狙ったより右に飛んじゃったけど、ラッキーでした」と運よく窮地を抜けると、7番Iを握った169ヤードの第3打を、ピン2メートルにくっつけた。
バーディチャンスは、「下りスライス」と完璧に読み切ったつもりが、ピッチマークの処置をしている間に「ラインを忘れちゃった」と、決め損ねて悔しがる姿もカラリと明るく、どこか楽しげだ。

大舞台のプレッシャーも楽しむ。
「緊張はするけど、緊張しているからこそ良いプレーができるし、緊張していないとスーパープレーは生まれてこない。練習以上のものが出るのは緊張のおかげ。対応力は、人よりあるつもりです」。

前日、姉の結さんとのLINEには「たのしんで」「冷静に」「頑張って」「リズムよく」といった励ましが並んでいたそうだが「そうだな、って感じ」と、響いているのかいないのか……。

「明日はまた、3アンダーを目標にクリアして、優勝できなかったらしょうがない」。
首位の谷原とはわずか1打差。
1927年の第1回大会を制した赤星六郎氏以来となるアマVへ、20歳の愉快で元気な大器が大きな可能性を残した。

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