Tournament article
Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 2021
中西直人のゴルフはステージだ…!!
そんな思いで自然と体が動く。
プロ11年目の中西直人が、灼熱の芥屋(けや)で躍動する。
2017年大会から始まったスタートホールの選手紹介で、お気に入りの曲を流してもらえる「勝ちウタ」。
前回の19年大会に続いて「今年もおかわり」と、中西が再選曲したのはバイオリニスト、葉加瀬太郎さんの代表曲「エトピリカ」だ。
5年前に行ったコンサートで中西が感銘を受けたのは、美しい旋律だけでなかった。
くぎ付けになったのは、舞台と楽器を目いっぱい使って行われるパフォーマンス。
「ディスコの曲とか、バイオリンでそれをただ弾くだけではなくて、ノリノリで踊ったりするんです。それがめちゃくちゃ楽しくて」。
良い意味で、予想を次々と裏切っていく極上のステージショー。
「ただ、自分の得意なことを普通にやられても、ふーんで終る。何も印象に残らないけど、自分がやってもらって嬉しいこと、楽しいな、と思えることをやってくれると、また行きたいな、って」。
ゴルフ界のお祭り男を自称する男のお手本だ。
「音楽が大好きで、コンサートに行きまくって、ビッグバンとか、ケツメイシとか」。
数々のエンターテインメントでサービス精神を養ってきた中西は、開幕のティーイングエリアをステージに見立てた。
曲に合わせてクラブを顎に挟むと、お客さんたちに向かって身体をくねらせエア・バイオリニスト。
喝采を浴びて出ると、先々週から使い始めた新ボールと、ツアー会場で、唯一のコウライグリーンがピタリとマッチ。
コースともみごとな調和を奏でて、6バーディ1ボギーの67。7位タイの好スタートで、結果でもきっちり応えて戻ってきた。
実は、本大会は13年と19年の出場で、2度とも予選落ち。
「一番、悪いところから入ってきているから、もう下はない。今年はむしろ、一番ポジティブな状態で来ています」と、大きな笑顔を作ると「自分も楽しんで、みなさんにも楽しんでもらって、優勝争いをするのが目標です」。
ここでやらなきゃどこでやる。