出場資格のない選手が主催者推薦を受けられる今季の上限は7試合。
次週、いよいよその7試合目を控えて薗田峻輔(そのだ・しゅんすけ)が、復活の兆しを見せている。
「ありがたいことに、今週もこうやって出させてもらって、自力で出るよりも、ひとつ乗っている分のプレッシャーがありながらもその中で、悪い感覚がかなり底上げされている」と、納得の「65」を出した。
ティショットで右ラフに入れた1番や、8番では4メートルのパーパットを打ったが、ボギーなしで戻ることができた。
11番と12番ではいずれも15ヤードを沈める連続のチップイン。
「12番ではボギーになりそうなのが、入っちゃったという感じですけどそれ以外は『なんか分からないけど調子が良いんです』ではなくて。自分の中で確信があってそのスコア」。
感覚と、数字と、結果がやっとついてきた。
物心ついたころからゴルフを始め、中学時代は豪州に単身、留学。杉並学院高校時は2つ後輩の石川遼に「王様のゴルフ」と、言われた。
明治大学2年の2009年にプロ転向し、デビュー5試合目の2010年「ミズノオープンよみうりクラシック」で初V。
2013年には左ひざ半月板の手術を受けながら、復帰してすぐ通算2勝目を飾った。
才能と体格にも恵まれ、順調なプロ生活と、思われたが「それらがすべてたまたまだったと気がついた」と、言ったのは2018年。
「今までは、途中式は合ってなくてもたまたまなぜが答えが合っていただけなんだ、と。だから壁に当たった時に、解けない」。
不振に陥り、出場21試合で決勝ラウンド進出が2試合のみ。
シード落ちを喫して、予選会のQTでも失敗。
出場権すら失った。
初めて挫折を味わい一からスイングを見直した。
トラックマンなど、測定機器を使い、「一つ一つの動作と数字と感覚が合うように、ゼロから少しずつやり始めて。理論的に『今のショットはこうだったからこうなった』とわかるように。この何年かは考えて、それを味わう時間」と、苦労を重ねた。
「無我夢中でいろんなことを経験した上で、今年は少しずつ結果を出せるようになってきて。その積み重ねで少しずつ自信もつけて」と、先月のセカンドQTでは1位通過。
「王様のゴルフ」を取り戻しつつある。
今シーズンはすべて主催者推薦で出場し、次週の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で、いよいよ規定の上限7試合目を迎える。
その直前に、2016年の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」の初日以来となる首位に立った。
「3日目になったら意識もするけどまだ初日。今の自分のゴルフをどれだけ明日あさって続けていけるか。次に向けての課題」。
一歩ずつ、確実に復活への道をたどる。