ベテランの歴代覇者が、土曜日にスコアを大きく動かし優勝争いに加わった。
プロ19年目の宮里優作(みやざと・ゆうさく)が、ボギーなしの8バーディを記録して、「ここ何週間を考えると別人くらいいいゴルフができた」と、通算10アンダーに急浮上した。
「アイアンショットが引き続き安定していて、そこにパットが追いついた」と今週、自宅で眠っていた長尺パターを久しぶりにバッグに入れると、グリーン上の悩みが一気に解消。
「グリーン上でドキドキしなくなっている。構えたらとにかく打つだけ。ゴルフ人生でいま一番ストレスがない」と、通算2アンダーの31位タイから出たこの日は、4番から1メートル→2.5メートル→6メートルと来て、7番で7メートルをねじ込み4連続バーディとするなど爆発した。
長尺パターは数年前にも数試合で使用したことがあったが、クラブの一部を体につけて振る「アンカリング」が2016年に禁止されてからは初めて。
「実践に投入するのは勇気が要ったが、それくらいに追い込まれてた」という異変のきっかけはこの夏、コロナウィルスに感染してから。
1か月の療養を経て、9月の「パナソニックオープン」で復帰すると以前の感覚がすっかり消えていた。
「感覚がまったくでなくなってしまって、毎週どんどんおかしくなった。特に左手の誤作動が多くて、狙ったところに打てない」と、コレクションから引っ張り出した。
「長尺はグラグラするので。使いこなすのは難しい。練習量がいる」という懸念も、長尺巧者の市原弘大にも相談しながら「人によって違いますけど、基本的には肩を動かすイメージで、上げたのをポンとおろすだけ」と、症状にピタリとハマった。
先週は東北福祉大で2つ上の谷原秀人が5年ぶりに優勝。
18ー19年は一緒に欧州ツアーを戦い「あの人のバイタリティーは本当にすごい」と刺激を受けたばかり。
今大会初日の「医療従事者感謝day」では、「僕はかかってしまったので。本当に感謝しています」と全身、青のグラデーションをつけたウェアで気持ちをこめてプレー。
コロナから復帰後のV争いは、2015年以来となる大会2勝目の大チャンスだ。
「若手はほっといても上位に来ますけど、僕らはどれだけ上位に行けるか」。
今週は41歳が、世代交代の波をかきわけ食らいつく。