惑いの2年間でした
史上2番目に多い16人が初シードを果たした一方で、今季は25人が、はじき出された。
予選ラウンド終了時点で賞金シード落ちが決まった19人に加えて、最終ラウンド終了後にさらに6人増えた(下記一覧)。
52歳の藤田寛之は予選敗退で、現役最長の連続シード更新を23シーズンで途切らせたが、43歳の武藤俊憲はそれに次ぐ、14シーズンでストップ。
シード権争いの最終戦を、通算4アンダーの47位タイで終えて、賞金ランキングは108位と、前週から4ランク上げるのでやっと。
優勝スコアが通算19アンダーの伸ばし合いで武藤が奪ったバーディ数は、1日2~4個ペース。
シーズンを通しても「ドライバーを曲げて、というのが本当に多くて圧倒的にバーディチャンスが少ない」と、20-21年は元来の爆発力が目に見えて影を潜めた。
「振って、どっちに行くかわからない。なんで上手くいかないんだろう。原因がわからない。コントロールして、マネジメントをして、コース攻略するというどころのゴルフではなかった」と、惑い続けた2年間。
「原因がわからないまま終わってしまった」。
それでも無理に要因を突き詰めれば、コロナ禍に行き着く。
「我々はある程度、実戦の中で(スイングを)作っていく部分もある」。だが昨年は、1月のSMBCシンガポールオープンのあと9月まで、1試合もできなかった。
また、いざ再開しても「ギャラリーの方に見ていただけない」。
たくさんの観客の前で、勝ち星を重ねてきたベテランには特に堪えた。
「いつもと違うゴルフをしなきゃいけない。長くやってきた者にはゴルフ界はこうだ、というのが頭のどこかにあって、そういう結果じゃないか」と、ひとつひとつ掘り返してみる。
忍び寄る加齢を痛感したのも今年だ。
先週の「ダンロップフェニックス」の3日目。「スタートホールでティアップした時に、地面に吸い込まれるくらいのめまいを感じて。脳梗塞かと思ったくらい」と、恐怖を感じて棄権。
精密検査で命に別状はなく、三半規管の耳石が影響しているらしいということが分かったが、「どう考えても歳でしょう」と、苦笑いを作った。
2006年から守り続けた賞金シードは失った。
しかし、19年の「パナソニックオープン」でツアー通算7勝目を飾ったときの出場権はまだ1年ある。
同大会では連続賞金王の今平周吾と石川遼と、タイの若者ジャズをまとめて打尽。
「彼らをやっつけたわけですから。まだまだできるんだという自信になった」と、コロナ以前の手ごたえは、幸いまだ温かい。
「いい若手がどんどん育っているなと感じますけどその中で、まだまだ我々がやるべき仕事は残っていると思う。ドライバーの飛距離もまだ落ちていないので。トレーニングもし直して、もうちょっと練習してから来いよという、そういうプレーを後輩たちに見せたい」。
43歳が出直しを誓った。
なお、今季のシード陥落25人中、20人の海外勢が占めたのは、新型コロナウィルス感染拡大による出入国制限などで、出場できなかったことなどが、要因に挙げられる。
該当選手には「新型コロナウィルスによる入国制限保障」が適用され、各選手の状況によって後日、来季出場可能な試合数を決定することにしており、今季と合わせたそこでの獲得賞金額が、20ー21年賞金シードの65位の獲得賞金額を満たした時点で、来季の残りシーズンの出場資格を獲得できる。
<20ー21年に賞金シード陥落した選手>
D・ペリー
A・クウェイル
A・キュー
Y・E・ヤン
正岡竜二
武藤俊憲(19年の優勝者の資格保持)
(以下は、予選ラウンド終了時点で喪失が確定していた選手)
G・チャルングン(公傷による特別保障制度申請)
藤田 寛之(生涯獲得賞金25位以内の資格保持)
J・クルーガー(2019年優勝者の資格保持)
J・ジェーンワタナノンド(2019年優勝者の資格保持)
塩見 好輝
D・ブランスドン
梁文冲(リャンウェンチョン)(公傷による特別保障制度申請)
B・ケネディ
M・ヘンドリー
R・ジョン
M・グリフィン
P・ピーターソン
崔虎星(チェホソン)(2019年優勝者の資格保持)
姜庚男(カンキョンナム)
金庚泰(キムキョンテ)(2019年優勝者の資格保持)
B・ジョーンズ(2019年優勝者の資格保持)
藤本 佳則
朴相賢(パクサンヒョン)(2019年優勝者の資格保持)
W・J・リー
(合計25名、うち日本人5名)