日没で順延した2日目に、最終9番ホールのプレーを残したイン最終組の3選手が7時30分から競技を消化し、第2ラウンドが終了した。

石川遼が20代最後のVチャンスにこぎつけた。
今週こそ、シーズン初Vに期待がかかる。
通算5アンダーの首位に立ち、19年以来のツアー通算18勝目を狙う。

前日は「68」で回り終えていた。
4バーディに対してボギーはひとつにとどめた。
唯一叩いた5番はツアー最長のパー４（535yd）だ。
2日目の平均値は4.889ストローク。
第2ラウンドでバーディを奪った選手はゼロだった。

全長7566ヤードの大雨で、体感距離はさらに増す。
「初めてアマチュアで出たとき（07年、15位T）は霧で、中断したりはあったんですけど、ここまでずっと雨が降ったのはほとんど初めて。ここで勝った時は晴れでした」。

連覇を飾った2010年大会。
「ドライバーで、全部ギリギリのところを狙って、セカンドもピンを狙いまくって成功して。あの時、あの週の自分みたいなゴルフをされたら勝てない」と、どんな難コースも怖いもの知らずで向かった11年前の自分をいま、客観的に眺めてみる。

「ゴルフの内容も、マインドセットも全然違う。自分としては、1週間ハマって優勝して、そのほかが良くないゴルフよりかは、いつでもどのホールに対しても、勝てるゴルフを目指している」。

今月17日の誕生日を前に、29歳の経験と、頭脳を使ってマネジメントにも、徹底して取り組む。

最後の18番では何が何でもリスクを回避。
ティショットであえてスプーンを握ったのは、雨が小やみになったから。
「降っていれば、ドライバーで右に抜けてもバンカーまで届かない。でも、飛距離が落ちないで、バンカーまで行ったらセカンドが狙えない」。
結果、スプーンでラフに行った。7ウッドの2打目は届かず、右手前に落ちたが「そこからの勝負に持っていけたのは良かった」と、難しいアプローチをピン4メートルに乗せて、渾身のパーセーブを見せた。

シーズン自己ベストの2位につけた先週から、再びのVチャンスも「理想どおりでは全然なくて、満足はいっていない。まだまだ」と断じたが、雨傘の石川はどこか楽しげだ。

「今までの自分だったら最後の18番も、スプーンで打って、セカンドですごく距離が残ってしまうのは嫌だった。でも今は、その辺のゲームプランやコースの難しさもしっかり受け入れて、4日間でどうやってスコアを作っていこうかというのを凄く楽しめている」。

10年前とはゴルフも身体も、考え方も全然違う。
「うまくいかなかったからボギーになるとかダボになるということではなくて、最後までなんかこう、しがみ付くというか。どうやってここから最小限でケガを済まそうかとか。本当、うまくいかないことは多々あるんですけど、それがゴルフ」と、泥臭く格闘する。
「もっともっと、強くなって行きたいという思いだけで今はやっている」。
30歳の誕生日を前に、富士山のふもとでこの先10年、20年を占ってみる。

• 石川 遼