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ダンロップ・スリクソン福島オープン 2021
中嶋常幸が、松山英樹とのマスターズ秘話を語る(松山英樹インビテーショナル)
恒例のジュニアイベントは、主催のスリクソンが世界に誇るホストプロの名前を冠した「松山英樹ジュニアインビテーション」。
松山が大会初出場した2015年に立ち上げて以来、ゆかりの人々でタスキをつないできた。
今年は中嶋常幸が登場。地元の小・中・高生20人の前で珠玉の講義を行った。
「何を話したらいいのかな…」と、直前まで題材に迷っていたというが、いざ子どもたちの前で自然と出たのは、やっぱりおのずと、松山とのマスターズ秘話。
「彼の快挙を題材にながら、自分もあそこで経験してきたことをリンクさせて、すらすらと話しができた」。
冒頭に、子どもたちと視聴した松山からのビデオメッセージも、中嶋が一番、楽しみにしていた。
「コロナの影響で、日本でプレーすることがなかなかできませんがその分、アメリカで頑張っていいプレーを見せることができたら嬉しいです」などと、VTRを通じて子どもたちに語り掛けた松山の肉声に感激しながら、「みんな、マスターズの優勝は感動したよね。なんであれだけ感動したのか…」。
自身も放送ブースですすり泣いたシーンを思い返して「それは、彼がサンデーバックナインであれだけ苦しみながら勝ったから。それは、自分も経験したから分かります」と、例に挙げたのは自身も11回の出場で、もっとも優勝に近づいた1986年大会のこと。
「ゴルフというスポーツで息ができなくなるほど苦しくなるなんて、あるだろうか??」。
今も鮮烈に思い出すのはあのニクラウスとの優勝争いで硬直し、コントロールができなくなったアーメンコーナー最後の13番でのティショットだ。
快挙の3日後に、改めて祝福の電話をした際に、松山にも当時の中嶋と同じ現象が起きていたことが分かった。
「松山選手も15番で池に入れて、2打差になって、もうボギーが打てない状況になった。あの時、松山選手もあの時の僕と同じような状況だった、と。松山選手が5打差のまま勝っていたら、僕も放送席で泣かなかったよ! 自分の優勝でも泣いたことなんか、なかったのに…」などと、子どもたちと一緒に感動のシーンを振り返った。
マスターズの開催直前には、飯田トレーナーを介して、パッティングのアドバイスを送ったという中嶋。
飯田さんによると、松山は毎朝3時、4時起きで、1日13時間ものトレーニングを重ねているという。
以前、サプライズで中嶋が主宰するゴルフアカデミーに参加してくれたことがあったそうだが、「僕がいつもしているトレーニングを子どもたちの前でいきなりやってみせてもらったけど、軸もぶれず、正しい形を保って、それは美しかった」と、松山の日々の努力を子どもたちに語って聞かせ「松山くんがスペシャルなのは、妥協しないところ。できないと思ったその先を頑張れば、きっと彼のようになれる」と、限界突破の意義を強調。
語っても語りつくせぬその凄さに、予定の30分はあっという間に過ぎた。
スリクソン契約のベテランとして、大会に参加してきた中嶋も、今年は治療中の右肩腱板断裂や、左ひざにも深刻な痛みがあり、「今は2日連続のゴルフがマックス。やはり予選通過するくらいの期待が自分に持てないと大会にも失礼」と出場を断念。
今回は直前の22日に、2度目のワクチン接種を済ませて”裏方”でつとめを果たした66歳は、「福島が復興するというのが、東日本大震災からの復興の象徴と、僕は思っている。ここで試合がある限り協力させてもらいたいし、来年は出場して、ぜひプレーをお見せしたいな、と思っています」と、現役続行への意欲もちらつかせていた。
中嶋はこのあと13時から、福島中央テレビ(福島ローカル)で始まる生中継で、JGTO会長の青木功と解説競演します。
お楽しみに!!