大会2勝の通算4勝目で自身初の逃げきり優勝を達成し、大勢が祝福に駆けつけたが、ヒロシは逃げ足も早かった。
水シャワーのお祝いが苦手だ。
「初優勝の時にもしてくれたんですけど冷たくて、息ができなくて。それが嫌で逃げました」と、横っ飛び。
一目散でスコア提出所に飛び込んだが、アテストをしている間に完全包囲をされていた。
バスタオルを頭から被り、おそるおそる部屋を出た。
「冷たいのは嫌だ!」と訴えると、「常温にしといたから!」と、東北福祉大同期の宮里優作。
観念して輪の中に飛び込んだが案の定…。
「せっかく勝ったのに。苦しい思いをしました。最悪」と、思わずこぼしてしまったが、「待っててくれた人たちにお礼が言いたかったけど、冷たくて誰がいたか分からなかった…」と、気にした。
ヒーロー会見では「派手なガッツポーズをしたかったですけど、やっぱり出なくて」と、3年ぶりの有観客に詫びを入れ、「緊張感もお客さんがいてくださってこそ。たくさんのギャラリーのみなさんに見守られて優勝できて幸せです」と、不器用ながら感謝を添えた。
シャイで照れ屋だけれど優しくて、友達思い。
普段は口べただけど、お酒が入ると饒舌で、ユーモアたっぷり。
仲間もみんな、そんなヒロシが大好きだ。
主催者さんも、それを知ってか表彰式と、簡略な祝賀パーティを済ませて会見場にやってきた岩田はほろ酔い加減。
「社長に『飲まなければしゃべれないでしょう』と。中ジョッキを勧められて急いで一杯。ふわふわしてます」と、酔いに任せて口も滑らか。
話題も弾み、野球からスケボー→ゴルフに転向した経緯を丁寧に語り、特に母校・仙台育英高校・野球部の件では熱さえ帯びた。
通算3勝目を飾った昨年の「中日クラウンズ」に続く40代での2勝目となったが、年齢的な気がかりは「毛量。髪の毛が少なくなったことくらい」と、体力気力はまだ十二分。
2016年シーズンに続くアメリカ再挑戦も視野に、今年は全米オープンと、全英オープンの出場を狙ったが、全米オープンは国内予選でプレーオフ負け。
全英オープンにもランキングで届かず、そのあと1ヶ月も落ち込んだがこの1勝で、賞金ランキングは4位に浮上した。
次の出場目標に設定した10月の「ZOZOチャンピオンシップ」にむけて弾みがついた。
「年齢は関係ない。もっと上手くなりたい。もっと飛ばしたいし、もっと寄せたいと、日々思っています」。
40代からヒロシはもっと強くなる。